いつも楽しく拝読しています。今日は息子絡みの問題でご相談をお願したくてメールしています。
私には大学生の息子と高校生の娘が居ます。
大学生の長男は今時の草食系男子という感じで、これまではガールフレンドも居ませんでしたが、ある日突然外国人のガールフレンドを家に連れてきました。
目鼻立ちが整った、真っ白い肌、栗色の髪の毛で、目はグレーという外人さんで、特に美人という訳ではないのですが、息子が気に入ってしまったのは分かる感じでした。
私は大学時代の夏休みに短期留学したことがあり、子供達にも留学を経験して欲しいと思っていたので、
外人さんを交えて家で英会話で夕食をする機会があることを最初は歓迎していました。
娘は外人さんに英語の宿題を手伝って貰ったり、兄妹共に音楽やゲーム、アニメなど共通の話題がいろいろあるようで、楽しそうでした。
でもだんだんと外人さんが家に居座る時間が増えてしまい、息子が学校をサボっているのでは?と思えることが増えてきました。
申し遅れましたが、夫は秋まで外国に単身で赴任していまして、今は親子3人暮らしです。
夫が居ないので 外人さんに舐められてしまったのか、徐々に外人さんの荷物が息子の部屋に増えてきました。
買い置きしていた食糧とかスナックが勝手に食べられてしまい、多分これは息子も一緒に食べていると思いますが、
外人さんが来るまではそんなことはありませんでした。娘もわざわざ並んで買って来たお気に入りのデザートを勝手に食べられてしまい、外人さんを疎ましく思い始めました。
娘は、まさか外人さんが家に居つくと思っていなかったので、最初はシャンプーや化粧水を「自由に使って」と言ってしまったらしいのですが、
その減りが激しくなったことも嫌がっていました。
最終的に娘と私が完全にキレてしまったのが、夫が海外赴任直前に娘の誕生日に買い与えた、高校生としては高めのブランドのネックレスを外人さんが勝手につけていたことです。
しかも息子がそれを許可していたようで、娘は高校にネックレスを付けていく訳には行かないので、使わない時だったら大丈夫だろうと判断したようです。
私達が激怒したのでネックレスは渋々返してくれましたが、以来、私と娘の態度が冷たくなったので、
外人さんは「自分が外国人として差別されている。日本人のガールフレンドだったらもっと優しくして貰えたはず」という屁理屈を言い出し、
それに息子が賛同して厄介なことになっています。
確かに外人さんが 忘れ物を取りに戻る時に スニーカーを履いたまま部屋に上がった時は、ビックリして「日本では土足に家には上がらないの」とキツク注意したことがありましたが、
息子には生活習慣が違う国から来ている人間に対して厳しすぎると言われました。
それと食事の時にお箸ではなく、フォークを使うので、漆器のお椀が傷かないように外人さんの分だけ陶器のお椀を使ったことも、
「自分だけキレイなお椀で出してくれない」という差別に受け取られています。
「漆器のお椀で出して欲しいなら、お箸を使って欲しい」と言ったら、そんなことを一方的に要求するのも差別だというのがあちらの言い分です。
今では外人さんが鬱陶しくて、やって来ると嫌な顔をしてしまうのですが、それも差別的だそうです。
我が家は家の構造がちょっと変わっていて、外人さんは私と娘が寝静まった夜中に息子の部屋に上がって、息子が朝出掛けてからも居座っていることもあるようです。
外人さんは留学生だと言っていたのですが、学校に行っているとは思えません。 私と娘の間では少し前から外人さんのことを、ふざけて”クルド人”と呼ぶようになってしまい、
それに気付いた息子が、また差別だと怒りだして、家の雰囲気は悪いですし、食費と電気代は夫と4人暮らしだった時より嵩んでいます。
家計のためにも追い出したいのですが、差別と言われないようにしながら外人さんを出入り禁止にするにはどうするのが良いでしょうか。
何かお知恵を拝借できたらと思っています。
お忙しいかと思いますが、よろしくお願いします。
ー S -
いろいろ大変な状況をお察しします。
正直申し上げると、私からは違った意味でSさんと娘さんが外人さんを差別をしているように見受けられた次第です。
問題の外人さんの行動は、たとえ日本人であっても出入り禁止、もしくは出入りの制限を言い渡してしかるべきものです。
そんな状態になるまで、Sさんと娘さんは 息子さんのガールフレンドが白人外国人だったことで、日本人や他の有色人種よりも逆に優遇して、寛容であり過ぎたように見受けられます。
もし外人さんが黒人、アジア人であったら、もっと最初から警戒していたのではないでしょうか。
ここまでインバウンド旅行者が増える前に、日本に行ったことがある欧米の白人の間では、「日本人は白人に甘い」、「日本こそ白人至上主義社会」などと言われてきました。
アメリカに住んでいる時に 女性に相手にされなかった男性が、日本滞在中に日本人女性にチヤホヤされたせいで舞い上がってしまい、アメリカに戻った時にはとんでもない”勘違い男”になっていたというストーリーは
2000年以降のアメリカで頻繁に聞かれていました。
今では、クルド人問題やインバウンド旅行者急増の影響で、外国人に対する日本人の感情がいろいろ変わってきたようですが、それでも迷惑な旅行者などでない限りは
白人優遇は今も日本に根強いように見受けられます。
いずれにしても 私の意見では、このケースで差別があるとすれば、それはSさんと娘さんが こんなに好き勝手にされるまで 外人さんを差別的に優遇したことです。
日本社会は相手の気持ちを重んじるばかりに、断ったり、拒絶する際に不必要な言い訳をしては、非がある相手に付け込まれる要因を与えてしまいがちですが、
Sさんは家主として外人さんを出入り禁止にする権利があります。Sさん宅は公共スペースではありませんので、その理由を説明する法的義務もありません。
もし息子さんが正当な理由を求めて引かないようであれば、「遠慮がなく、家族の生活空間にズケズケ入ってくる外人さんのことが人間的に嫌いだ」と答えて下さい。
実際にSさんと娘さんにとって、それが外人さんを追い出したい理由なはずです。
アメリカでは、例えば上司が部下をクビにする際、「黒人だから」、「ヒスパニック系だから」という理由で解雇しようとすれば人種差別と見なされますが、
「人間的に嫌いだ」という理由なら 差別と見なされないので、合法的にクビに出来るのです。外人さんを追い出すのも、それと同じ事なのです。
若い男性は、初めてできたガールフレンドには下手に出るものですし、せっかく出来た彼女を失わないために過度に献身的になったり、過度に相手を信頼&美化し、
周囲を敵に回してまで彼女のために闘ってしまうことは珍しくありません。
ですがお見受けしたところ、息子さんと外人さんは 何かにつけて「差別だ」と言えばSさんが引っ込むと思い込んで、「差別」をフリーパスのように使っているようです。
実際には Sさんや娘さんがしていらっしゃるのは”ルール&マナー違反”や、”常識&気遣いの欠落” に対する批判や意思表示であって、人種差別とは全く無関係です。
でも息子さんと外人さんは、何が起こっても問題を人種差別に摩り替えて、自分達を被害者として正当化するように脳がプログラムされてしまっているのです。
早い段階で息子さんのこうした考えを改めないと、この問題が一段落してからも、
学校、職場、家庭などの様々な状況で、自分を有利にする”マジック・ワード”を見つけては、それをフリーパスにして周囲に我がままや理不尽を押し付け、それを正論だと思い込む人格が出来上がってしまいます。
この人格を持つと、男性はまともな女性と長く良好な関係を築くことは不可能です。
外人さんに話を戻せば、Sさん宅に入り浸り、私物を置いていく様子からお察しして、外人さんは息子さんに恋愛感情を抱いているよりも、自分に滞在場所を提供し、
食費を払ってくれる人を探すパラサイト生活をしているのかもしれません。
また息子さんも自宅に外人さんを連れて来るようになったのは、Sさんや妹さんに彼女を紹介したいからではなく、毎回デートの食事代を払う金銭的負担を回避しながら、
外人さんを家に泊めてあげたいと考えたからかもしれません。
”彼女いない歴=年齢” だった息子さんにとっては、「自宅があって、家族が居る」という経済的後ろ盾が、外人女性と交際できる優越感になっていたかもしれませんし、
「生活面で施さなければ、彼女が自分から離れて行く」と、潜在的にでも悟っているからこそ、家族に迷惑を掛けてまで 彼女に良くしているのかもしれません。
外人さんが本当にパラサイトである場合は、宿と食事が得られないとなれば、新しいターゲットを求めて離れていきます。
ですので「もう散々食事と宿を提供してきたのだから、息子を利用せずに他を探して欲しい」と、これ以上は自分達から何も得られないことを外人さんに宣言する、
もしくは許容範囲内のキャッシュと引き換えに、「もう家には来ない」という念書にサインしてもらうのも有効かもしれません。
欧米は契約社会なので、書面への合意サインは確実に守られるはずです。
外人さんを出入り禁止にした場合、息子さんは暫し反抗期のような態度を取るかもしれませんが、
本当に外人さんが好きなのであれば、家族に迷惑を掛けずに、家の外で自腹で交際を続ければ良いのです。
息子さんは やがて別世帯を持って、親から離れて生きて行くべき存在です。干渉や擁護は控えて、
突き放すくらいの気持ちで、息子としてより、1人の大人の男性として 見守ることをお薦めします。
Yoko Akiyama‘
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執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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