Oct Week 5 2025
The Boomerang Effect
”姉の不倫を庇っていた自分にブーメランが返ってきました”




いつもサイトを楽しみにしています。私もご相談をお願いします。
私の姉は美人で、若い頃からチヤホヤされるタイプだったのですが、既に2回離婚をして、今の夫は3人目です。 姉の離婚は2回とも姉の浮気が原因でしたが、どちらも浮気相手が次の夫になっていて、 「浮気ではなく、本気だった」というのが姉の言い分です。 1人目の夫との間に生まれた娘(私の姪)が、私の子供(とは言っても大学生と高校生です)と幼い頃から仲が良く、今時の子供は離婚や不倫について理解しているので、 子供達には姉の離婚の経緯について包み隠さず話してきました。
私は姉を悪者にしたくなかったのと、私自身、姉の事は好きだったので、子供達には「姉は運命の人と出会う順番を間違えた」、「運命の相手は先着順では決められない」と 姉を庇ってきました。でも姉の浮気で姪や2人の前夫が傷つき、それぞれの家庭が崩壊して、実家にも迷惑をかけているのに、姉は再婚の度に裕福な相手に乗り換えて、 不倫の批判も上手く逃げてしまうので複雑な思いをしてきました。

浮気は伴侶を裏切って、家族を不幸にする行為ですから本来なら許せません。 それを2回もやってのけた姉を庇うことには抵抗を感じていたのですが、 その罰が当たったというか、それが自分にブーメランで返って来る事態が起こってしまいました。先日、夫が「別に好きな女性が出来た」という理由で、離婚を求めてきたんです。 その時の言い分が、私が姉を庇っていた時と同じ「運命の人と出会う順番を間違えた」、「運命の相手は先着順では決められない」というもので、 「その女性と結婚するつもりなので、浮気というよりも本気」という姉の身勝手な言い訳をそのままリピートしてくれました。
しかも夫が浮気相手との新しい人生を考えたきっかけは姉の影響だったそうで、 以前夫と姉が話していた時に、姉が「離婚をしたとはいえ、別に前夫が嫌いになった訳ではないし、それなりに幸せだと思っていた」と言ったそうでで、 「幸せなのに、夫以外の男性に気持ちが行くことなんてあるんですか?」と夫が尋ねたところ、 姉は「前夫とはその先10年、20年が安定した予測可能な人生になるのが分かっていたけれど、それに魅力を感じていない自分に気付いた。 人生は一度だけなので、自分の目の前に現れた新しい人との人生を考えたら、そちらの方が先が知れている人生より ずっと魅力的に思えてので、そちらを選んでしまった」 というようなことを言ったそうです。 そして夫がそれに洗脳されたというか、私との先が知れている人生よりも、年齢が若く、活発な女性と一度きりの残りの人生を楽しみたいと思ったというのです。

夫が浮気をして離婚を望んでいることは 既に夫が子供達に話していて、大学を卒業するまでの学費を払うことなど、勝手に具体的な話を進めていましたが、 子供達は浮気をした夫を責めるかと思ったら、姉の浮気に寛容な態度を取っていた私にも 夫の浮気の責任があると思っているようで、 犬のしつけに例えて 「飼い主が容認の姿勢を見せれば、犬はそれをやっても良いと思い込む」と言って、 まるで夫の浮気が 私の自業自得であるかのように考えていることにショックを受けてしまいました。

今の私には 姉も夫も許せません。身勝手で理不尽で、伴侶を支え合うパートナーではなく、自分の人生の踏み台にして、自分の幸せや都合しか考えない様子を嫌悪しています。 夫は 離婚さえすれば他人ですが、姉は血が繋がった家族です。本当なら口もききたくないし、顔も見たくないのですが、 夫との離婚が姉のせいとは決めつけられませんし、姉が直接私に害を加えた訳ではないので、姉と絶縁状態になっても良いのかと悩んでいます。 でも子供達が浮気容認派にはなって欲しくないので、私はともかく、子供達には姉や姪とは今後関わって欲しくないと思っています。
変なご相談で恐縮ですが、何かアドバイスを頂けないでしょうか。よろしくお願いします。

ー N -


ダブスタの理不尽


最初から厳しいことを申し上げてしまうと、私の意見ではNさんご夫妻よりも、Nさんのお子さん達の方が真っ当なモラル・スタンダードをお持ちでいらっしゃるようです。
世の中には家族や親しい友人のために道徳観を捻じ曲げた理論を展開する人は少なくありません。他の子供の行為は責めても、自分の子供が同じことをした時には その正当性や罪の無さを主張する親は少なくありませんが、Nさんがお姉さまの不倫について語っていらしたのも それと同じ言い分です。 Nさんは、お姉さまの不倫と離婚が家族に与えたダメージを認識しつつ、「姉を悪者にしたくなかった」、「私自身、姉の事が好きだった」という気持から 不倫を正当化して肩を持つ発言をされてきたようですが、 「今時の子供は離婚や不倫について理解をしているので、 子供達には姉の離婚の経緯については包み隠さず話してきました」というのであれば、 「不倫が裏切りであり、家庭を崩壊させ、家族を傷つける行為であること、人の道に反する行為であること」をお子さん達に対して明確にするべきだったと思います。
仰る通り 今時の子供達は不倫や離婚について良く理解しています。 Nさんのお子さんと姪御さんの間でも、お姉さまの不倫や離婚について話す機会があっても不思議ではありません。 その結果、お子さん達は Nさんの主張がダブルスタンダードであると日頃から感じていたはずですし、父親である夫さんについては 犬のしつけに例えていらしたことから判断して、威厳のある怖い父親像ではなく、お子さん達なりに夫さんの精神面の流され易さや、優しさに通じる人間的弱さを見抜いていたのでしょう。 ですから夫さんが浮気に走り易い空気を作ったのが Nさんの浮気に対する”ダブスタ論”だったとお子さんが感じているように見受けられますし、 自分の身に起こるまで善悪の判断が曖昧だったNさんに対して、自業自得的な目を向けているようにも感じられます。
子供は年齢に関わらず 親が考えている以上に親をよく見ていますし、親の行動に対して様々な感情を抱いています。ひょっとしたらお子さん達の方が、Nさんが長年お姉さまに対して抱いてきた 「美しく、人から好かれる姉であって欲しい」という気持、それでいて「好き勝手に振舞っても、常に有利な立場が維持できるお姉さまへの反発」等の、 複雑な心情を的確に感じ取っていたかもしれませんし、姪御さんがそれと同じような気持ちを母親であるお姉さまに抱く様子を見て来たのかもしれません。
いずれにしても確固たるモラル・スタンダードを持つ人々にとっては、Nさんのダブスタぶりは 「浮気を本気」と言い訳するお姉さまや夫さんの言い分と同じ位、 理不尽に聞こえていたと思う次第です。

血縁関係はモラル・スタンダードより遥かに脆弱です

お子さん達は、少なくとも現時点ではNさんが心配されるような浮気容認派になることは無いように思いますし、こんなことを申し上げるとNさんお1人を責める形になってしまいますが、 もしNさんが 「たとえ大好きな姉でも不倫や浮気は許せない」という一貫した主張をしていたら、 お子さんやご主人を交えた日常的な会話の中で、不倫が家族にダメージを与える裏切り行為であることを認識し合っていたように思います。 また家族間にそうした認識があれば、夫さんも「たまたま自分の目の前に現れた人との新しい人生の展望を考えたら…」という お姉さまの身勝手な言い分に倣うようなことは無かったように思います。 実際に日常会話による精神的な擦り込みは、正しい道を踏み外さない強力なストッパーになりえるのです。

その一方で私は過去約10年間のアメリカで、血縁関係がモラルや価値観を超える程は強くない様子を目の当たりにしてきました。 2016年の選挙でトランプ氏が大統領に当選して以来、アメリカは真二つに分断されましたが、トランプ氏への支持を巡って絶縁した親子、兄妹、親友は数え切れません。 これを政治思想の違いと判断する人も居ますが、それまでは支持政党が違っても婚姻や良好な交友関係が成り立っていたのです。 それがトランプ政権が誕生して以来、歩み寄れなくなったのは、相手がモラルの見地から許せない存在になったためです。
特に自分に「差別はいけない」、「ウソを付いてはいけない」と教えて来た親が、その正反対を実践する人物を感情的なまでに支持する姿に失望した子供世代が 親と絶縁するケースが非常に多いことが伝えられましたが、確固たるモラル・スタンダードを持つ人々にとっては、道徳観をあっさり覆すというのは超えられない障壁なのです。

私の考えでは、Nさんがここで取り組むべきは どんな時でも自分が正しいと思う主張を貫くこと、 自分の道徳観や価値観を正確に見極めて、それに従って自分らしく生きることです。 それは一貫性のある主張、考え、行動を貫くことでもあり、その一貫性こそが人間関係に信頼をもたらします。 固い友情も深い愛情も 信頼を土台に築かれるものですので、ご自身の生き方を改めることで お姉さまとの絶縁よりも、 まずはお子さん達からの信頼の取り戻しに努めて頂きたいと思う次第です。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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