Uber Eats Hosts King of Nepo Baby、Brooklyn Beckham!?
Uber Eatsがネガティブ・アテンションのキングを上手く活用!?
ブルックリン・ベッカム初のポップアップのリアクション

Published on 2/8/2024


1月25日と、26日の2日限定でオープンしたのが、修行経験無しで独学でシェフとして活動するブルックリン・ベッカムのポップアップ。
ポップアップとは言っても、店をオープンしたのではなく、ゴースト・キッチン(デリバリー・フードだけ料理するレストラン・キッチン)で調理されたメニューを Uber Eatsでデリバリーするビジネス。 このポップアップはUber Eatsが主宰したのもので、プロジェクト名は ”Uber Eats Host Brooklyn Beckham”。
現在24歳のブルックリン・ベッカムと言えば、欧米では”King of Nepo Baby”、すなわち”親の七光りの王者”と言われる存在。 デヴィッド&ヴィクトリア・ベッカムを両親に持つ彼は、まずモデル業に足を踏み入れた後、修行ゼロでフォトグラファーとして写真集を出版。写真の腕前は ”ド素人レベル”と言われながらも英国ではベスト・セラーになっているのだった。 その後、NYのパーソンズ・スクール・オブ・デザインの写真学部に親の七光りで入学したものの、またしても親の七光りで大手フォトエージェンシーのインターンにリクルートされた彼は、 当然ながら楽な道を選んで パーソンズを中退。しかしインターンシップについての続報は聞かれず、母親のヴィクトリアが 自分のファッション・ブランドのプロモ写真撮影に彼を起用して その写真が使えなかったことことから、写真の道を断念。
それでも親の七光りで、インスタグラムだけで1400万人のフォロワーを持つブルックリンは、ソーシャル・メディア上で素人シェフとしての腕前を披露。 こちらも写真同様、修行&経験ゼロながらも、親の財力のお陰で食材とキッチン・ガジェットだけはトップシェフ並みのこだわりを見せた彼は、 またしても親の七光りのお陰で、ヴォーグ誌を始めとするメディアで料理の腕前を披露。 それがフェイスブックとインスタグラムの親会社、メタの目に留まったことから、「Cooking with Brooklyn」というタイトルで、メタが製作するオリジナル・コンテンツを発信 するようになったのだった。



ネポ・ベイビーの隠された実力


それと時を同じくして、やはりネポ・ベイビーで知られる女優のニコル・ぺルツと結婚。 ニコルは現在ディズニーの取締役会に圧力を掛けていることで知られる、ビリオネア・ヘッジファンダー、ネルソン・ぺルツの長女。 親の七光りでハリウッドのキャスティングを獲得し、つい最近には自ら脚本、監督、主演を務めた映画を親の資本で製作したばかり。これまでクロエ・モエッツなど数多くのガールフレンドと交際したブルックリンは、 自分の親より遥かに財力があるファミリーとの結婚で、生涯お金に困らないステータスを手に入れたのだった。
逆に「Cooking with Brooklyn」を製作するメタは大赤字。 カメラマンだけで8人、フード・コーディネーターや、完成品を別に調理するシェフ等、総勢スタッフ約70人、1エピソード当たりの製作費は10万ドルで、 仕上がる料理は食欲をそそらないベーグル・サンドウィッチというお粗末な内容。
そのブルックリンは、「Cooking with Brooklyn」のプロモーションのためにアメリカの朝の人気バラエティ報道番組「トゥデイ」のクッキング・セグメントに登場。 ブレックファスト・サンドウィッチを作る様子をデモンストレートしたものの、食パンで作るサンドウィッチに 長さ40cmのタンで具を乗せようとするなど、 プロなら絶対にありえない独自のテクニック(?)を披露。 その完成品のサンドウィッチは、”残飯”、”ジェール・サンドウィッチ(刑務所で出される乾いた劣悪サンドウィッチ)”にしか見えないことでヴァイラルになり、 「トゥデイ」の2人のホストが、必死に苦し紛れのカバーをする様子が笑いをそそるという、本来の目的から逸脱した展開を見せたのだった。
結局ブルックリンとメタのプロジェクト「Cooking with Brooklyn」は終了宣言はないものの、2022年以降 新着エピソードの発信が無い状態。 替わりにブルックリンは、自らのソーシャル・メディアで、自慢の料理とその腕前を披露。 35ドルのコールド・プレス・エクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイルのボトルを1本使ってフライド・チキンを揚げるなど、 料理の知識と金銭感覚の双方が欠落していないと出来ないような荒業調理を披露。
そのせいで彼のクッキングは、嘲笑の対象であり、ネガティブ・コメントを寄せたい人々やプレスにとっての恰好のサンドバックになって久しい状況。 しかしグーグルのアルゴリズムで「Like」と「Dislike」が全く同じようにカウントされるのと同様、 ブルックリンはネガティブ・アテンションのマグネットとしては絶大なパワーを持っており、それが”King of Nepo Baby”と呼ばれる由縁でもあるのだった。





ポップアップの本当の目的は…


それほどまでに料理の才能と知識の無さを露呈しても、仕事が来続けるというパラドックス状態になっているシェフ、ブルックリンの最新のプロジェクトが ”Uber Eats Host Brooklyn Beckham”。 デリバリー対象エリアはイースト・ロンドンのみで、幸い(?)調理を担当するのはブルックリンではなく、ゴースト・キッチンで働くシェフたち。ブルックリンはレシピを提供するのみで、 ポップアップの開催時にはロンドンに滞在してさえ居ないことが伝えられていたのだった。
そしてポップアップが始まると、案の定メディアに溢れたのがブルックリンが提供した5種類のディッシュに対する酷評やユーモラスにからかうようなレビュー。 その5種類のディッシュは、豚肉とエビの餃子、ナンを添えたチキンティッカ・マサラ、カリフラワーのバッファロー・スタイル、和牛のボロネーゼ・ソース・パスタ、エッグ・ベーコン・ソーセージを挟んだブレックファスト・サンドウィッチ。 ちなみにブレックファスト・サンドウィッチはブルックリンが5歳の時にナニー(世話役)・ペギーが彼に作り方を教えてくれたという彼のシグニチャー・ディッシュ。ブルックリンは、 スクランブル・エッグ、ベーコン、ソーセージ、チーズを挟んだこのサンドウィッチのトレードマークの取得に動いているそうで、「トゥデイ」で披露した悲惨なサンドウィッチをアップグレードにしたような印象。
例によって食材にこだわるだけでなく、余分な手間暇をかけるブルックリンは、ボロネーズ・ソースで和牛を12時間煮込んみ、餃子に添えたごま油と醤油のミックを”セサミ・ソイ・ディッピング・ソース”と名付けてネーミングでも威嚇。 バッファロー・カリフラワーに沿えたソースについては「ホームメイドのシークレット・レシピ」を謳って、イマジネーションを駆り立てているのだった。 そんな手間暇(?)が掛かった料理だけに、小さな餃子7つ、カリフラワーの揚げ物7片のお値段は10ポンド(約1875円)と極めて高額。 当然のことながら価格、料理の味、食材のチョイスまでを酷評していたのがメジャーなメインストリーム・メディアで、 その中には「We Tried Brooklyn Beckham's Pop Up Menu, So You Don't Have To」というタイトルで、お金を払ってトライする価値がことを謳うものも見られたほど。
多くのメディアは、自費でUber Eatsにオーダーしてレビューを書いていたとのことで、通常こうしたPopUpイベントの場合、 プレス用サンプルが用意されるのが常。ところが”Uber Eats Host Brooklyn Beckham” はプレス・サンプルが殆ど用意されなかったとのことで、 その理由は、後にロンドン在住のYouTuberの潜入取材によって明らかになるのだった。



ブルックリンは踊る側か、踊らされる側か?


ポップアップは1月25、26日の午後5時〜10時までのオーダー受付で、申し込み殺到が見込まれることをUber Eats側が予め警告していたけれど、 実際にロンドンの人気YouTuber、ジョシュ&アーチーが25日6時半に注文を入れたところ、全メニューが在庫切れとなり、オーダーがキャンセルされてしまったとのこと。 その後、彼らが調理が行われていたゴースト・キッチンで潜入捜査を行ったところ、働いていたシェフたちからは「メディアからオーダーされた50品の料理(全5メニューを10社分)を用意したら閉店の指示を受けていたとのこと。
すなわち ”Uber Eats Host Brooklyn Beckham”は 高売り上げという商業的サクセスを狙った企画ではなく、ブルックリンが料理をすれば 絶対にネガティブ・レビューを書くために 食いついて来るメディアと、そこから得られるパブリシティを目的としたプロジェクト。 日本語で言う”炎上商法”、欧米なら”へイト・クリック”と同じ手法。
実際に、まともで美味しいフードを提供するシェフでは当たり前過ぎて、決して得られないのが今回ブルックリンが獲得した酷評レビューの数々。 しかもそれが、ザ・サン、ジ・インディペンデント、テレグラム、ハロー・マガジンなど、ことごとくメインストリーム・メディアで、これらのメディアからのパブリシティを広告費を捻出して獲得しようとすれば大出費。 しかし英国民の”Love To Hate”ターゲット、ブルックリンを起用すれば僅か2日の低バジェット企画で、これほどまでのパブリシティが獲得出来る訳で、 例えネガティブでもパブリシティと名が付く限りは宣伝効果というのが広告業界の認識。
そもそもブルックリンの料理の評判が如何に悪く、彼が料理をする度にソーシャル・メディア上でネガティブ・バズが巻き起こるのは周知の事実。 それをデータ収集とアルゴリズムでビジネスを行うUberが理解していないはずはなく、 蓋を開けてみれば、Uberが仕組んだシナリオに メインストリート・メディアも、一般大衆も見事に 乗せられ、ハメられたという印象だったのが今回のポップアップ。 ここで問題になって来るのは、果たしてブルックリン本人はここまで酷評されて、今も本当に自分を料理の達人だと思っているのか、 それともこの状況を十分理解した上で利用し、自らクラウンを演じてメディアと大衆を手玉にとってお金儲けだけをしているのか。 もし後者であるとすれば、24歳の若さにして類まれなる精神力とビジネスセンスの持主。
”Uber Eats Host Brooklyn Beckham” で唯一評判が良かったのは、その洗練されたパッケージ。 ブラックのモダンなコンテナが、更に化粧箱、シックな紙袋に入って届くプレゼンテーションは極めてスタイリッシュ。 高額のお値段には このパッケージ・コストがかなり含まれていると見込まれるのだった。
ところで今年スーパーボウルで Uber Eatsが放映する1分間のCMに 様々なセレブに混じって登場していたのがデヴィッド&ヴィクトリア・ベッカム。 そのためブルックリンのポップアップと、両親のCM出演が Uber Eatsとのパッケージ・ディールだったという噂も聞かれているのだった。


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