
May Week 2, 2025
Ines de la Fressange’s Style
イネス・ド・ラ・フレサンジュの エイジレス&リセッション・プルーフなスタイル

1980年代後半に「25ans」を読んでいた昭和のバブル世代であれば、
誰もが憧れたのが当時のシャネルの専属モデル、イネス・ド・ラ・フレサンジュ。
1957年8月11日生まれで、今年のバースデーで68歳を迎えるイネスは、
抜群のファッション・センスと脚の長さ、豊かな表情で知られたトップ・モデル。
ココ・シャネルと同じしし座ということもあって、「ココの再来」とも言われ、
当時のシャネルのデザイナー、カール・ラガーフェルドに ”No one can be chicer than Ines(イネスよりシックな人間は他にいない)” と言わせたことから、
その後もメディアで、"chicer than chic" Frenchwomanと賞賛されてきた存在。
以下のモノクロのショットは、左が80年代のシャネルのプロモーション・ショット、中央は2011年に彼女が著書「Parisian Chic」を出版した際のポートレート、
そして一番右は、2023年に65歳を迎えたイネスをElle誌が特集した際のショットで、
ボトックス・フリーで、若々しく、活き活きした表情を保っている点も彼女が今も
多くの女性にアピールするポイントになっているのだった。


カール・ラガーフェルドと事実上、喧嘩別れでシャネルの専属モデルを辞めてからのイネスは、独自のブランドを立ち上げてブティックをオープン。
今ではオンラインでも製品を販売。
その傍ら、ロジェ・ヴィヴィエのモデル兼ブランド・アンバサダーを務め、数年前にはユニクロともコラボ。カンヌ映画祭のレッドカーペットの常連でもあり、今もファッション業界に多大な影響力を持つのが彼女。
そのイネスのパーソナル・スタイルが今になって再び注目を集め始めたのは、
世界が戦々恐々と待ち受けるリセッションの影響。
経済不安で消費が衰えると、女性達はフェイシャルやヘアダイだけでなく、ファッションにもお金を使わなくなるのは当然の成り行き。
でもイネスのスタイルは、膨大なワードローブや高額なデザイナー・クローズを買わなくてもシックに装える上に、
タイムレスで、着回しが効くリセッション・プルーフのスタイル。
少し前にこのコーナーで紹介したアメリカン・ファッション・アイコン、キャロリン・ビセット・ケネディののフレンチ・バージョンとも言えるけれど、
リセッションのご時世に 派手過ぎず、地味過ぎず、クラス(品格)を感じさせ、スタイリッシュという点がファッション業界のプロの間でも再評価されているのだった。

身長180cm、体重50キロというモデル時代の体型を、ほぼ保っているイネスのファッションは、
上質素材を用いた、シンプルで仕立てが良いアイテムで構成され、ニュートラル・カラーが多いものの、ブラックよりもネイビー派。
ベルトやバッグ、シューズ、スカーフ等で印象的なカラー・アクセントを加えるのが特徴。
ヒールを履くのは稀で、バレエ・フラット、スリッポン、バーケンストックを含むフラットサンダルが定番の足元。
ウエストをマークしてバランスを整えながらも、心地好く、エフォートレスなコーディネートで、
タイムレスなだけでなく、エイジレス。
現在60代の彼女が着用しても、20代、30代の女性が着用しても、同じように
シックでスタイリッシュに見えるのが彼女のセンス。
とは言っても彼女のスリムなボディがそのファッションを引き立てているのは紛れもない事実で、
やはり年齢を問わず服を美しく着こなすには、ある程度痩せている必要があるようなのだった。


上は1980年代のChanelのランウェイに登場したイネスで、1975年に18歳でモデル・デビューした彼女は1983年から、当時としては異例と言える
シャネルとの高額独占契約を結び、1989年までブランド・イメージの象徴だった存在。 その後1991年から、リンダ・エヴァンジェリスタやクリスティ・トゥーリントンといった顔ぶれが
スーパーモデル・ブームをクリエイトしたけれど、80年代にイネスを起用したシャネルのブランド・イメージの若返りと多数のパブリシティ、そしてカール・ラガーフェルドの
モダンなブランド・ビジョンが無ければ、その後のデザイナー・ブランド・ブームは違う物になっていたと言われるほど。
イネスは、2010年にChanelのランウェイのフィナーレに、カール・ラガーフェルドと共にカムバックしていたけれど、
彼女は1998年にインターナショナル・ベストドレッサーの殿堂入りを果たしていて、Chanelの存在が無くても
「最もシックなフランス女性」と認識される存在。
リセッションがきっかけというのは歓迎できないものの、彼女のスタイルが再び注目を浴びるのは 女性達のファッションIQの向上には非常に役立つと思うのだった。
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執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |


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