Dec Week 1, 2025
Gigi's Knit Style in Cheaper Price
セーター着こなしのお手本、ジジ・スタイルを安価に実現するブランド

毎年秋冬シーズンになると、ファッション・ブロガーやインフルエンサーがセーター・ルックのお手本としてその着こなしを引用するのがスーパーモデルのジジ・ハディド。 ファッションの専門家の間で評価が高いのは彼女の最近のスタイルよりも、数年前のコーディネート。
特に頻繁にフォーカスが当たるのが写真下、左から2番目のスタイルで、シンプルなタートルネック・セーターにマキシ・スカート、それにニーハイブーツを合わせたルック。 シンプルな組み合わせながら、毎年のように秋冬スタイルのお手本として登場するタイムレスなオール・ブラック・コーディネートなのだった。

一流デザイナー物のニットは、長身のモデル体型が着用するだけでスタイリッシュに見えるものだけれど、 ジジ・ハディドのコーディネートの上手さは、ベルトやフロント・タックインで ウエストをマークして、さらにバランス良く見せている点。
ジジのようにセーターを着こなすには ある程度の御値段をセーターに支払う必要があり、そもそも秋冬シーズンのセーターは最も貧富の差が如実に現れると言われるアイテム。 化繊が入った安価なニットとカシミアとでは肌触りに雲泥の差があるけれど、 わざわざ触れなくても素材の発色や、ある程度近くから眺めた雰囲気で価格とクォリティの差が歴然と現れるのがセーター類。
でも大金を叩かずしてジジのデザイナー・セーター・ルックが実現出来るのが、今ファッショニスタの間で大ブレークしているブランド、”Quince/クインス”。 2018年にウォールストリートのアナリスト夫妻と、エンジニアを含む4人組がスタートしたクインスは、既に時価総額45億ドル、年商11億ドルにスピード成長しているのだった。

クインスのビジネス・コンセプトは一流ブランドのジェネリック、すなわち一流と同じスペック、同じクォリティを安価で提供すること。
コピーライトでプロテクトされる部分を除いて ブランド品をコピーすることで、デザイン費、リサーチ、マーケティング＆広告費用を節約し、独自に調達したハイエンド素材で生産するのがクインス。 その目玉商品がモンゴル産のカシミアを用いたニット・シリーズで、最も安価なカシミア100%なクルーネック・セーター(写真上左から2番目)は50ドル。 そのクォリティはNYタイムズ紙のファッション・エディターも驚きと絶賛を記事にしたほど。 私も好奇心から写真上右から2番目のフィッシャーマン・タートルネックを購入してみたけれど、これは従来の小売価格425ドルのクォリティを119.90ドルで提供する大バーゲンで、 商品は極めて優秀。
カシミアだけでなく、ウールのジャケットやコート、洗えるシルクのドレスやスカート等にも定評があり、 メンズ、子供服、マタニティ、ホームグッズ、シューズ、バッグ、更にはキャビアやシャンパン等も扱っているのがクインス。 私がこのプランドの存在を教えてあげた友人は、毎日のようにウェブサイトに入り浸っているそうで、 「今年の家族へのクリスマス・ギフトは、全てクインスから購入する」と宣言するほどのファンになっているのだった。 (上と下の写真は、クリックするとクインスのウェブサイトのプレゼンテーション・ページにジャンプします。)

クインスは、ブランドにはこだわらないものの、一流ブランドのスタイルやクォリティを安価に手に入れたいという人には願ったり叶ったりのブランド。 バッグのセクションではボッテガやロエベのコピー等も 法律に触れない形で上手くこなしていて、ファッションのジェネリック・ブランドのサクセス・フォーミュラを確立しているのだった。
クインスは現在、アメリカとカナダにしか発送をしていないけれど、ご希望があればCUBE New Yorkでお取り寄せを行います。

執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター＆リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー＆イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。

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