Nov Week 4, 2023
“Bomboloni & Rolly Croissant”
ボンボローニ & ローリー・クロワッサン


誰にでも ”Guilty Pleasure / ギルティ・プレジャー”(罪悪感を感じながらエンジョイしてしまうもの)があるけれど、私にとってギルティ・プレジャーと言えるのは揚げ物を食べること。
私は30歳でウエストが太くなったのを自覚して以来、ずっとダイエットを趣味にしてきたけれど、最初に取り組んだのがファットフリー・ダイエットだったこともあり、 その後もずっと貫いてきたのが揚げ物を食べないポリシー。 とは言っても友人とレストランに出掛ければ、フレンチフライ(フライドポテト)やオニオン・リングをシェアすることはあり、スーパーボウル・パーティーに出掛ければフライドチキンを摘まんでしまうこともあるけれど、 社交の場でのシェアは、食べる量も限られているとあって ノー・カウント。 また基本的に私はフライド・チキンやてんぷら、カツレツといった揚げ物メニューにはさほど興味が無く、出されれば食べるものの、 自らレストランでオーダーしたり、テイクアウトをしてまで食べようという気持ちはないのだった。
私が”ギルティ・プレジャー”と呼ぶのは、年に1、2度、食べたいと思った時にわざわざ買いに出掛けて味わう揚げ物。ピンポイントで言えばドーナツ。 それも生地がしっかりしたケーキ・ドーナツではなく、フワフワのイースト・ドーナツの中にクリームが入った ボンボローニ なのだった。




私が ”揚げ物解禁日”にボンボローニを買いに行くのは、ミッドタウン・ウエストのアンジェリーナ。 ここはブライアント・パーク傍にオープンした、モンブランで有名なパリのアンジェリーナと間違える人が少なくないイタリアン・ベーカリー。 同店名物のボンボローニは世界各国の旅行ガイドにフィーチャーされているとあって、旅行者も大勢買いに来るNYの名物スウィーツで、 今ではオンライン注文で全米にデリバリーされているほどの人気商品。
私が一番好きなのはシャンティリ・クリームを詰めたベーシックなボンボローニであるけれど、 ショーケースにズラリと並ぶストロベリー、ピスタチオ、ヌテラ、キャラメル等のバラエティを見ていると、どうしても1つでオーダーをストップすることが出来なくて、 もう1つ別のフレーバーをピックするのが常。 その2つをブラック・コーヒーと共に味わって、少し気持ちが悪いくらいの満腹になると、その後約1年は ボンボローニ欲求を完全に押さえることが出来るのだった。
ちなみに30代の頃の私は、当時私のアパートに頻繁に遊びに来ていた友人が クリスピー・クリームから 揚げたてのオリジナル・グレーズ 1ダースをお土産に持ってきてくれた日が 揚げ物解禁日。毎回そのうちの8つ、合計1380カロリー分をあっという間に平らげていたのことを思うと、恐ろしい食欲。 それでも当時の方が今より筋肉質で身体が引き締まっていたので、エイジングによるメタボリズム低下を痛感するばかりなのだった。




今では揚げ物解禁日は年に1度になっていて、ボンボローニを味わう前日は炭水化物を控え、 翌日にはしっかりエクササイズをしてカロリーを燃やす必要があるので、事前のスケジュール調整が必要。 今回もカレンダーに印をつけてから実践することになったけれど、イレギュラーが生じたのはアンジェリーナに到着してからのこと。
アンジェリーナはボンボローニが一番人気であるものの、様々なアレンジをしたクロワッサンも人気商品。 しかし私は、「クロワッサンは焼きたてのプレーンが一番」と考えていることもあり、これまではトライせずにきたのだった。 でも今回ショーケースの中で目に留まったのが、クロワッサンのドウを丸いシェイプに焼き上げたローリー・クロワッサン。 私の好物、クイニーアマンのようなルックスで、ボンボローニ同様、クリームのスタッフィング。 車輪のように立てたディスプレーも気に入ったので、 この時はシャンティリ・クリームのボンボローニと、ピスタジオのローリー・クロワッサンを購入することにしたのだった。
結果的にこのコンビネーションを選んだのは大満足であったけれど、血糖値が爆上がりした上に、高カロリー・ペストリー2つの脂肪分のせいで、 美味しく食べ終えた後から見舞われたのが満腹過ぎる不快感と、何とも言えない敗北感。 でもそういう気分になるからこそ、「もう暫く揚げ物は食べない」という決心が固まって、 野菜たっぷりの食事の美味しさや有難味を実感するのもまた事実なのだった。




ちなみに私が30代以降、食べないと決めたのは揚げ物だけでなく、挽肉料理、加工肉を含む加工食品全般、シリアル、冷凍食品全般、 カップラーメンを含むインスタント食品、そしてファスト・フード。幸い私はポテトチップスやポップコーンのようなスナック類、ソーダを含むソフト・ドリンクが嫌いなので、 これらは食べない、飲まない等の決心をする必要はないのだった。
日本の友人にこのラインナップを話すと驚く人が多いけれど、アメリカ人の友人だと全く驚かないだけでなく、 時に私よりもハードコアな食生活をする人に巡り合うのは個人的に興味深く思っているところ。 これは恐らく大手が製造する食品に対して抱く危機感の温度差のように思うのだった。
私が個人的に最も苦い経験を味わった食品はシリアルで、未だ朝食を食べる習慣があった頃、それまでのベーグルからシリアルの朝食に切り換えたところ、 徐々にシリアルの量が増え、その後どんどん糖分の高いシリアルを買っては、それをおやつ代わりに食べるようになり、それがエスカレートすると 食欲が抑えられなくなって、ひっきりなしに甘い物を食べ続けるようになってしまったのは 私にとって忘れられない恐怖体験。 その原因がシリアルと悟ってからは、棚に並んでいたシリアルの在庫を全て捨てて、その後は食事内容をしっかり記録することで、 炭水化物中毒を脱したけれど、食品に含まれるケミカルが食欲ホルモンに与える影響を痛感したのがこの時。
それを思えば1回味わうだけで 「あと1年は食べなくて大丈夫」と思わせてくれるアンジェリーナのボンボローニやローリー・クロワッサンは、 全く無害なギルティ・プレジャーと言えるのだった。

Angelina Website:https://angelinabakery.com/

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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