May. Week 5, 2025
Household Income Impacts Children's Friendships...
”家計が子供の友達関係に与える影響…”


長く愛読させて頂いていますが、初めてのご相談です。よろしくお願いします。
うちは下の娘が小学5年生で、昨年のクリスマスに 友達グループ6人で500円までという値段を決めて プレゼント交換をしました。 すると経済的に困窮していると思しきお家のA子ちゃんが100円ショップで売っているとようなものを1つプレゼントにしたらしく、 たまたまそれが 日頃からA子ちゃんの家の経済状態について指摘するB子ちゃんが受け取ることになってしまい、B子ちゃんが不公平だと言って怒り出してしまったことから、 親を巻き込んだ騒ぎになってしまいました。
A子ちゃんはお友達グループで唯一東京ディズニーランドに行ったことが無くて、我が家で出掛けた時は娘がA子ちゃんのために お土産を買って渡したことがありました。するとA子ちゃんのお母さんは、自慢されたと思ったらしく、 「うちはお返しも出来ませんし、こういうのはやめて下さい」と文句を言ってきました。 私は「娘が自分の意志とお小遣いで娘さんに差し上げた物ですので、お返しなど結構ですし、今後同じようなことがあったとしても、無視して頂いて大丈夫です」と ちょっとキツいかと思いましたが言ってしまいました。 あちらも「ああ、そうですか」とガチャ切りしてきたので、A子ちゃんに同情していましたが、A子ちゃんのお母さんとは関わりたくないことは娘に伝えてしまいました。 クリスマス・プレゼントの件は、A子ちゃんのプレゼントを受け取ったB子ちゃんのお家が、ちょっと派手めというか、 持ち物とか、旅行で何処に行ったとかを割と気に掛けたり、自慢するようなご家庭で、 B子ちゃんのお母さんが、A子ちゃんのお母さんに電話を掛けて、「500円という取り決めのプレゼント交換なのだから、 せめて350~400円のプレゼントを持たせるのが常識」とで文句を言ってしまい、 それ以降、A子ちゃんはお母さんに お友だちグループとは付き合わないようと言われてしまって、 B子ちゃんも A子ちゃんを仲間外れにしたくてたまらないらしいです。でも娘と他3人のお友だちは、B子ちゃんよりもA子ちゃんの方に同情的で、 友達として好きなのもA子ちゃんのようで、子供ながらにストレスになっているようです。 少し前には担任の先生に事情をお話したのですが、虐め以外は関わりたくないようで、 「プライベートに勝手にやったことの解決まで学校に求めないでください」と言われただけでした。
B子ちゃんのお母さんは、決まった金額のプレゼントが買えないのであれば、A子ちゃんがプレゼント交換に参加するべきじゃなかった、 そういうマナーを教えないA子ちゃんのお母さんに問題があるとまで言います。 でも別のお母さんは、「年に1度のクリスマスに 家の事情を子供に押し付けて、楽しみを奪ってしまうより、 むしろ参加してもらって良かった。A子ちゃんのプレゼントをB子ちゃん以外が受け取っていたらこんな騒ぎになっていなかったはず」という意見で、 親の間がどんどん拗れてきたせいで、子供達が可哀そうな感じです。 うちは上の娘が小学校から私立で、私立は私立なりのママ友付き合いの面倒臭さがあったのですが、 少額のプレゼントを大事にする親はいないので、その方が有り難いと思えるようになりました。
秋山さんはこの状況をどうご覧になりますか? 娘に親の経済状態の違いについてどう話すべきかについても、何かアドバイスがありましたら是非お願いします。

ー T ー


私自身の類似体験


Tさんのメールを拝読して、私自身が小学校時代に全く同じ経験をしていたことを思い出しました。
私は「教育大付属小学校を受験してクジで落ち、進学教室に通って中学で受験」という昭和世代にありがちなコースを辿ったので、 小学校は公立でしたが、3年生か、4年生のクリスマスに200円程度という取り決めで、数人の友達とプレゼント交換をしました。 私は当時から文房具や小物に凝っていたので、友達の誕生日プレゼント等も 珍しいもの、可愛いものを予算内で買い集めて、 キレイにラッピングしてプレゼントするのを好んでいました。なのでプレゼント交換にも同じように臨んだのですが、 友達の1人が当時10~20円程度だった大人がメモ書きに使うような小さな薄い手帳を1冊、ラッピングせずにそのまま持ってきました。 その友達が経済的に豊かでないのは皆理解していましたが、さすがにその手帳がプレゼントというのには皆が驚いてしまい、 誰もが自分にそれが回ってこないように祈っているのが分かるような空気でした。 そしてそのノートを引き当てたのが私でした。
周囲が自分に当たらなくて安堵した様子を感じながら、私は落胆してしまい、B子ちゃんのように怒りはしませんでしたが、 嬉しそうな顔は出来ませんでした。 プレゼントが全員に振り分けられてからは、中身を開けて見せ合う時間が始まり、私が持って行ったプレゼントを友達が喜んでくれたことは嬉しく思ったものの、 ラッピング無しの手帳を受け取ったことで、私にはプレゼントを開ける楽しみさえ無かったことを悲しく思いました。 そして子供心に「安いプレゼントでも構わないけれど、受け取る人の気持ちも考えずに、こんな手を抜いた形で持ってくるのは酷い」と思ったのを覚えています。 お金が掛けられないのであれば、せめて自分で作ったり、絵をかいたり、もっと気持ちが籠ったプレゼントをするべきだと思ったので、 ほとぼりが冷めたらそれを本人に言おうと思っているうちに冬休みに入ってしまい、結局言わず終いでした。
ノートを持ってきた友人の家は、学校から徒歩数分の場所にあって、放課後に遊んだり、一緒に宿題をする際には、 友達が家にランドセルを置きたがるので、何度か立ち寄ったことがありましたが、母親は何時も何かに腹を立てていて、 笑顔を見たことがありませんでした。そして「宿題なんて集まってやらなくても」と何かと皮肉や否定的なことしか言いませんでしたが、 そんな様子が経済的な困窮によるものだということは友達皆が認識していました。

人間は4歳までの4年間に最も脳が発達しますが、6歳児と40歳の大人ではボキャブラリーや基本的知識には大きな差があっても、 感受性や状況把握にはさほど違いはありません。6歳児でも保身のためにウソをつきますし、大人と同じように危機感を抱きます。 4歳児が親の離婚を自分のせいにして思い悩むケースもあります。 ですからTさんの娘さんも、親が考えて居る以上に友達の家の経済力の違いや、それが時に友情や勉学の環境に影響することは認識しています。 弱い立場の人を蔑むことなく、侮辱や甘えになるような同情をせず、 友達として一緒に楽しい時間を過ごして、良い思い出を沢山作ることが本当の友情だということを理解し、それを実践していたら、 親は特に口出しする必要はないと私は思います。多感な時期にいろいろな思いをすることは良いことだと思いますし、 それを何とかしたいという気持、これだけは避けたいという気持から人生が切り開かれるケースは多々あります。 親が余計な誘導や解決をするのは、そのチャンスを摘み取ることに成りかねないとさえ私は思っています。

私立高、公立校、お金の価値観

Tさんは上の娘さんの私立の環境と、公立校を比較していらっしゃいましたが、 私自身は小学校は公立で本当に良かったと思っています。このことは中学で私立に入って暫く経った時に、 同じように中学からの受験で入って来た友達とも話していたことでした。
付属小学校から上がって来た生徒達の方が受験勉強が無かった分、多趣味なのに驚きましたし、 制服を着用して身なりに違いは無くても、同じように恵まれた経済レベルの生徒ばかりであることは、公立校から合流した側には一目瞭然でした。 経済面で劣等感を抱く必要が無い生徒が揃っていると、クラスの雰囲気は異なるのです。 ですがそれが一元的に映ったのも事実で、世の中にはいろいろな人が、いろいろな思いや経済状態で生きていることを 学べた公立校の経験が貴重だったことを友人と実感したのを覚えています。

私にとって忘れられない公立校のエピソードの1つが、5年生の時に仲良くしていた友達が、 ある時「レストランとかに出掛けると、お父さんやお母さんも料理を頼むの?」と尋ねて来たことでした。 私はこの質問の意味が分からなかったのですが、聞けば彼女が両親、兄の4人家族でレストランに行くと、 食べ物をオーダーするのは友人と兄だけで、両親はコーヒーしかオーダーしないのだそうで、「両親にも一緒に食事をして欲しい」と思っていることを話してくれました。
彼女の父親は 昭和時代の亭主関白のかなり悪い例で、当時は会社と学校が土曜日も半日出勤・登校でしたが、ある夏休み直前の暑い日に 母親が電車の遅れで出先から時間通りに家に戻ることが出来ず、父親が帰宅した時に、お風呂の準備も、昼食も用意されていなかったことに腹を立てて、 母親がカギでは入れないように玄関の扉を塞いで締め出したことがありました。 炎天下の中で母親は父親に謝り続け、兄や友達には鍵を開けて欲しいとの懇願し続けたそうですが、父親が「開けたら承知しない」と怒鳴っていたので、 友達は母親を助けたくても、助けられず、胸が張り裂けそうだったと話していました。 ふと考えれば、当時はペットボトルの水など持参していませんから、炎天下の屋外から、謝罪をして、助けを求め続けるなんて、倒れない方が不思議な状況でした。 結局、兄が母親を家に入れましたが、友達は兄の勇気に感心しながらも、何も出来なかった自分をずっと責めていました。

こんなエピソードの数々を聞いていたので、私にとっては公立校の方が私立高より貧富の差を痛感した環境でした。 私立校には、時折とんでもないレベルの富裕層が居ましたが、最初からそのレベルは比較の対象に考えないので、貧富の差として捉えることはありませんでした。 公立校では、貧富の差は親の性格や人間性、家の整理整頓具合にも現れていました。 でも経済的に困窮した、だらしなく見受けられる親の子供が至ってまともで、恵まれた家庭の子供よりも性格が良かったり、しっかりしているケースも多々ありました。
そんな小学校の友人とは音信不通になってしまいましたが、中学以降の友達は、今も一時帰国する度に会っている大切な仲間です。 数年前の中学のクラス会の会計の時には、皆が多めに払って、残りを受け取ろうとしないので、お金が余ってしまったことがありましたが、 それを見て男性幹事が言ったのが 「皆が多く払いたがるってことは、幸せってことなんだよ」ということ。 実際にその時は本当に皆がお金に見合う以上の楽しい時間を過ごしたことに満足して余分に払いたがっていたので、そのことを心から幸せだと思ったのを覚えています。
そうした様々なことを思い出すにつけて、「お金って一体何なのだろう?」と今更ながらに考えることがありますが、 これも風の時代を迎えて、それまでのお金に対する価値観が変わっていく前兆なのかと思っている次第です。

Yoko Akiyama



このセクションへのご質問は、ここをクリックしてお寄せください

プライベート・セッションはこちらからお申し込みください

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
Shopping
home
jewelry beauty ヘルス Fショップ 購入代行

Q&ADV プライベート・セッション

★ 書籍出版のお知らせ ★





当社に頂戴した商品のレビュー、コーナーへのご感想、Q&ADVへのご相談を含む 全てのEメールは、 匿名にて当社のコンテンツ(コラムや 当社が関わる雑誌記事等の出版物)として使用される場合がございます。 掲載をご希望でない場合は、メールにその旨ご記入をお願いいたします。 Q&ADVのご相談については掲載を前提に頂いたものと自動的に判断されます。 掲載されない形でのご相談はプライベート・セッションへのお申込みをお勧めいたします。 一度掲載されたコンテンツは、当社の編集作業を経た当社がコピーライトを所有するコンテンツと見なされますので、 その使用に関するクレームへの対応はご遠慮させて頂きます。
Copyright © Yoko Akiyama & Cube New York Inc. 2024.

PAGE TOP