May 4 〜 May 10 2020

”My NYC Lockdown Life 7 & Doubt”
NYC ロックダウン・ライフ 7 & ダウト


今週金曜日に発表されたアメリカの4月の雇用統計によれば 2050万人が職を失った結果、失業率は14.7%という 1929年に始まった大恐慌並みの数字。しかしながら大恐慌時代にはほぼ3年を掛けて約15%の失業率に辿り着いたことを考えると、 僅か数週間でそのレベルに到達した現在の方が世の中へのインパクトが大きいのは言うまでもないこと。J.P.モーガン・チェースによれば この数字には長期間に渡って職を探しても見つからなかった600万人がカウントされていないとのことで、 労働省も実際の失業率が20%に近いことを認めているのだった。
その前日の木曜には、先週1週間に新たに320万人が失業保険申請を行ったことが報じられ、過去7週間の申請者総数は3300万人。 しかし過去7週間、木曜日に多数の失業者数が発表される度に 翌日金曜日のNYダウが大きくアップしているのが市場パターン。 人によっては「悪いニュースが続かないように、政府の息が掛かった機関投資家が意図的に価格を吊り上げている」と考えるようだけれど、 実際には失業者数増加が意味するのは 政府による新たな、そして多額の助成金の投入。 なのでその資金がインフレを招いて株価を吊り上げることを好感したリアクション。
ベネズエラの通貨崩壊とハイパーインフレが起こった2017年には、株式市場が73,000%アップするハイパー・ブルマーケットだった訳で、 中央銀行が通貨を投入すればするほど 経済の実態と株価がかけ離れていくのだった。




アメリカでは今週から30以上の州が段階的な閉鎖解除に踏み切っており、ニューヨークでも 今週までに市内の殆どのスターバックスがデリバリーとピックアップのみの営業を再開。 また日曜の母の日のニーズを見込んでフローリストも営業を再開。これまでクローズしていた眼鏡店なども ソーシャル・ディスタンシングを守りながらビジネスを再開し始めているのだった。
しかしながらコロナウィルスがピークを越えて感染者、死者が減りつつある状況でも市政府、州政府が一向に緩める気配がなかったのが規制による締め付け。 ソーシャル・ディスタンシングを守らない市民に対する罰金は現在1000ドルとなっており、3月31日から5月5日までの42日間に 逮捕もしくは罰金処分を受けた人々の数は374人。今週にはソーシャル・ディスタンシングを押し付ける警官に反発した男性が 警官2人に何発も殴られる様子を収めたビデオがヴァイラルになっていたけれど、同様の事態はカリフォルニア、ジョージア州などでも報じられているもの。 その過剰な取り締まりと共に危惧されているのが 人種差別で、 NYでは逮捕・罰金処分となった374人中の81%がアフリカ系アメリカ人とヒスパニック系。
同様の人種差別は医療現場でも見られ、今週にはネヴァダ州からニューヨークの病院のサポートにやって来たナースが ソーシャル・メディアのビデオ・ダイアリーで 「ドクターはアフリカ系アメリカ人の患者のケアをしていないで放置している」と告白。 また呼吸器もアフリカ系アメリカ人の患者への使用が後回しになることが指摘されていたけれど、 ニューヨークに限らずアメリカの医療システムでは、呼吸器を使うだけで病院側が請求できる治療費は三倍にアップするとのこと。 そのせいかNYの病院では 無理な呼吸器使用により、逆に患者の肺が損傷を受けて死亡するケースが多いことが 匿名のナースの内部告発で明らかになっており、実際のところNYの病院では呼吸器を使用した患者の82%が死に至っているのだった。

失業者に話を戻せば、ここでも不利な状況を強いられているのがアフリカ系アメリカ人とヒスパニック系。 現時点でアフリカ系アメリカ人の失業率は16.7%、ヒスパニック&ラテン系は18.9%で その大半が貧困層。 私が今週YouTubeで観ていたビデオでは、様々な経済データを的確に説明していた経済専門家が 政府援助を必要とする貧困層の今後について尋ねられ「世の中から削除される、すなわち死ぬことになるだろう」と あまりにはっきりと語ったので驚いてしまったのだった。




その一方で今週のNYではアンドリュー・クォモ州知事の高齢者介護施設に対するコロナウィルス対応に批判が集まっていたけれど、 多くの州民が不信感を抱いているのがこの問題。 NYでは3月にジェイコブ・ジャヴィッツ・コンベンション・センターを1000床のベッドを擁する病院にコンバートし、 それ以外にも海軍のホスピタル・シップでやはり1000床のベッドを擁する”マーシー”を入港させて 不足する病院に対応する姿勢を見せたけれど、 実際にはそれらが殆ど活用されずに役割を終えたのが2週間前のこと。 にも関わらずジャヴィッツ・センターは 州の指示で高齢者施設のコロナウィルス患者の受け入れを拒んでいたことが明らかになっており、 その代わりに州政府が何をしていたかと言えば、高齢者施設の空いたベッドに病院で賄い切れないコロナウィルス患者を送り込む措置。 ウィルスで最も致死率が高い高齢者が集まる施設に感染患者を送り込むのは殺意があると疑いたくなる状況であるけれど、 全米のアメリカのコロナウィルスの死者の3分1は高齢者施設の入所者、もしくはその従業員。そしてその5分の1がNYの 高齢者施設での死亡者。
私が先週読んだ記事では、高齢者施設と同様の状況になりつつあるのが精神医療施設、障害者施設で、 あまり大きく報じられていないものの、コロナウィルスの感染が大きく拡大中である事実が確認されているのだった。 さらに今週水曜には カリフォルニア州のオテイメサ不法移民拘留所で、初のコロナウィルス死者が出たことが伝えられたけれど ここでは一時 100人の不法移民がコロナウィルス感染で隔離されたものの、後に感染者と健康な不法移民が あえて一緒に拘留されていたことが明らかになったばかり。
先週1週間にNYで入院した1000人の患者のデータによれば、その96%が既往症を持つ人々であったけれど、 貧困者、高齢者、精神障害者、不法移民、心臓病や肥満による糖尿病など既往症を持つ人々は、 感染が広まった直後から囁かれていた陰謀説の「コロナウィルスによって社会から排除するターゲット」とピッタリ一致している状況。 それとは別に現在アメリカではコロナウィルスのシャットダウンがもたらした経済問題や孤独がトリガーになった自殺者も増えており、 精神医療の専門家はその数が8万人に達する見込みを発表しているのだった。




NYでは今週から地下鉄を夜間運休にして、その時間帯を消毒清掃作業に当てているけれど、 利用者が90%減っても24時間運転を続けてきた地下鉄が、 大停電等の運転不可能なケース以外で全面ストップするのは1904年の開設以来初めての歴史的な出来事。
そのNYでは死者と感染者が減ってもロックダウン緩和策やタイムラインを一向に打ち出さない理由として クォモ州知事が 今週説明していたのが、 段階的解除によって感染者が増えた場合に受け入れる病院施設が不足しているということ。 それならば何故ガラガラだったジェイコブ・ジャヴィッツ・センターの仮病院を早々と閉鎖したのかは誰もに分からない状況。
そんな中、デブラジオNY市長は「ソーシャル・ディスタンシングを徹底させる」ことを理由に 今週LGBTQコミュニティの抗議活動の禁止を打ち出し、 合衆国憲法第一条で保証された国民の権利を脅かしたとして批判されていたけれど、 同様のコロナウィルスを口実にしたモニタリングや強制を含む人権侵害は 様々な形で広がりつつある状況。 またキリスト教右派が多い州では コロナウィルスの治療を優先させるために妊娠中絶が「一時的」に禁止されており、 今週司法省が ロシア疑惑で自ら有罪を認めた元トランプ大統領補佐官のマイケル・フリン(写真上右)に対する起訴を 取り下げるという極めて例外的な措置を取ったことについても、世論の反発や抗議活動が少ないこの時期を図って行われたという声が圧倒的。 その一方でトランプ政権は、NY、サンフランシスコ等、不法移民のプロテクトを打ち出す”サンクチュアリー・シティ”に対して、 「それを改めない限りは政府の助成金を支給しない」と脅しを掛けているのが現在。
したがってコロナウィルスは人々の健康や衛生の意識、経済を大きく変えるだけでなく、 人権や人種比率にも大きな影響を及ぼすと見込まれるけれど、「それが目的で感染が広まった」と疑う人々もどんどん増えているのだった。
Up Date: 5月11日月曜に クォモNY州知事は NY州が5月15日の金曜にロックダウンを部分的かつ段階的に解除すると発表。 NY市(マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタッテン・アイランド)は、デブラジオNY市長が「奇跡的な改善が見られない限り、 少なくとも5月一杯はシャットダウン継続」の意向を語っています。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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