Apr 5 〜 Apr 11 2021

"Kim Kardashian Is Officially A Billionaire?"
キム・カダーシアンがビリオネアの時代!?


今週のアメリカでは成人の50%が最低1回のワクチンの接種を受け、25%がファイザー、モデルナの2回の注射、もしくはジョンソン&ジョンソンのシングル・ショットワクチンを投与されて Fully Vaccinatedのステータスに達したことが報じられたけれど、 それと共に伝えられたのが、ジョンソン&ジョンソンのワクチンで 副作用を訴える人々が出たことから 5つの州でその投与がストップしたニュース。
ジョンソン&ジョンソンのワクチンは、先週その生産工場が本来の原料と間違えて アメリカでは未認可のアストロゼネカ社のワクチンの原料を ミックスする人為的ミスを起こし、1500万ユニット以上が破棄されたことが伝えられたばかり。 この工場はジョンソン&ジョンソンとアストロ・ゼネカのワクチン生産を担当しているものの、昨年ずさんな生産管理が警告されいたとのこと。
一方、インターネット上に現在出回っているのがフェイクのワクチン・パスポートで、 それとは知らずに申し込んでしまうとIDが盗まれることをFBIが警告しているけれど、 中にはワクチンを接取せずにワクチン・パスポートを入手しようとする人々も保守派を中心に多いとのこと。 そのためフェイク・パスポートを所持すれば公文書偽造の罪に当たることも同時に警告されているのだった。



今年のフォーブス世界長者番付、クリプト・ビリオネアが9人誕生


今週には毎年恒例のフォーブス誌による世界長者番付が発表されているけれど、1位はテスラのイーロン・マスクかと思いきや 彼は2位で総資産は1510億ドル。4年連続でNo.1の座を維持したのはアマゾンCEOのジェフ・べゾスで、その資産総額は1770億ドル。 3位はモエヘネシー・ルイヴィトンのベルナール・アルノーで1500億ドル、4位はビル・ゲイツで1240億ドル、5位はマーク・ザッカーバーグで970億ドル。 6位以降の顔ぶれはウォーレン・バフェット、オラクルのラリー・エリソン、8位、9位はグーグル創設者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン。 そして10位はインド最大の民間企業 リライアンス・インダストリーズ会長のムケシュ・アンバニで、圧倒的に強いのシリコンヴァレー勢力。
トップ10には中国人が1人もランクインしていないものの、今回新たにビリオネアになった中国人は205人で これはもちろん世界トップ。 ビリオネアが最も多く住む都市も1位が北京で、トップ10中5つが中国の都市。ちなみに中国人のNo.1富豪は 大手飲料水メーカー、ノンフー・スプリング社のゾング・シャンシャンで、その総資産は689億ドル。
2020年のパンデミック中に世界のビリオネアの数は493人増えて2775人となり、これは17時間に1人の割合で新たなビリオネアが誕生していた計算。 そのビリオネア総資産は13.1兆ドルで 昨年の8兆ドルから大きく増加。貧富の差が益々開いている様子を露呈しているのだった。

今回のランキングの話題の1つがビットコインを始めとするクリプトカレンシーに投資をしてビリオネアになった顔ぶれが9人ランクインしていること。 その中にはフェイスブックからの賠償金をビットコインに投資し、前回2017年のビットコイン・ブルマーケットの際に一時的にビリオネアになっていた タイラー&キャメロン・ウィンクルヴォス(写真上右から2番目の2人)が居るけれど、彼らの現在の資産はそれぞれ30億ドル。2人はジェミニというクリプト取引所を経営して久しい状況。
それ以外にも来週IPOが見込まれるクリプト取引所、コインベースの共同設立者2人(写真上一番右上下)、クリプト取引所最大手 バイナンスの設立者である ”CZ”こと シャンペン・ザオ、 ビットコインに初期から投資をしていたシリコンバレーのベンチャーキャピタリスト、ティム・ドレーパー、 そしてS&P500企業として初めてビットコインを企業準備資産に加えたマイクロストラトジー社CEOのマイケル・セーラー等が含まれており、 彼らが過去数ヵ月間に資産を急増させたのは言うまでもないこと。 また同じ時期にクリプトカレンシーへの投資でマルチミリオネアになった若い世代も非常に多く、 クリプト市場を”現代のゴールドラッシュ”、”富の再分配” と捉える声は益々高まっているのだった。



キム・カダーシアンの$ビリオンを構成する資産とは


でもビリオネアに加わった顔ぶれで今年最も話題になったのは、何と言ってもキム・カダーシアン。 昨年の時点で総資産約7.8億ドルであった彼女がビリオネアの仲間入りを果たした要因と言われるのが、 ボディウェア・ブランド、Skim/スキンの好調な売れ行き。 とは言っても2020年はパンデミックの影響で女性達がフィットしたシルエットの服を着用しなかった時期。 そのため身体を締め付けるボディウェア市場の売上は30%ダウン。 にも関わらずスキンが売上を伸ばしたのは、丁度タイミング良くラウンジウェアの販売をスタートしたことやマスクを手掛けたこと。 そしてそれらをキムの約7000万人のツイッター・フォロワー、2億1300万人のインスタグラム・フォロワーに広告費ゼロで プロモートできたこと。

そのスキンのビジネスは2019年に Net-a Porterのナタリー・マッセイン、セオリーのアンドリュー・ローゼンらの サポートを得てデビューして以来 400万ユニット以上を販売。昨年の売上は1億4500万ドルと発表されているのだった。 資金面は、ワービー・パーカーやグロッシエといったビジネスに投資をするヴェンチャー企業、スライブ・キャピタルがバッカーとなって1億5400万ドルを投入しており、 スキンはそれによって16億ドルの企業ヴァリュエ―ションを獲得。しかしフォーブス誌はその半分以下である約6億ドルを企業価値と見なして キムの持ち株資産を 2億2500万ドルと計算。
その一方で、キムは2020年に 自らのコスメ・ブランド、KKWビューティーの株式20%を コティ社に2億ドルで売却。それによってKKWビューティーの企業価値が10億ドルになっているけれど、 この買収で指摘されたのがコティ社による明らかな ”オーバーペイ”。 キム所有のKKWビューティー株式72%の資産額としてフォーブス誌が見積もったのは5億ドルで、その計算だと企業価値は7億ドル弱といったところ。 しかしスキンもKKWビューティーも低めに見積もったフォーブス誌の企業価値でも”オーバーヴァリュー”と言われるのが実際のところなのだった。
キムはそれ以外にアマゾン、ディズニー、ネットフリックスの株式に加えて、もうすぐ離婚が成立するカニエ・ウエストから貰い受けたアディダスの株を所有。3つの大邸宅を擁し、 リアリティTV出演料、ソーシャル・メディアからの収入も得ているものの、 そのビリオネア・ステータスを実現したのは 自らの2つのビジネスの7億ドル以上の資産見積もり。 これによってキムは世界長者番付の2674位にランクインしているのだった。



女性ビリオネアの資産の出所


キムが自らをビリオネアにしたビジネス・モデルに目覚めたきっかけは、彼女のハーフシスター、カイリー・ジェナーが一足先にビリオネアになったこと。 2018年、2019年に「史上最年少のセルフメイド・ビリオネア」とフォーブス誌が報じたカイリーは、 姉のキムを含む多くのセレブリティがライセンスでプロダクトを手掛けていた時代に、自己資本を投じてブランドのパートナーになるビジネスを展開。 幾つもライセンスを抱え、微々たるライセンス料を受け取っていたキムに対して、カイリー・ジェナーはカイリー・コスメティックだけでビリオネアになっているのだった。
そのカイリー・コスメティックは、コティ社が2020年10月にその株式51%を6億ドルで買収。 その結果カイリー・コスメティックの企業ヴァリューが約12億ドルになったけれど、これも業界ではKKWビューティー同様にコティ社の”オーバーペイ”と指摘されるもの。 そのカイリーは今年はビリオネアから脱落しているのだった。

今年は女性ビリオネアの数が昨年から36%アップして328人、その総資産額は昨年から60%アップして1兆5300億ドル。 しかし嘆かわしいのは女性のトップ10富豪に1人もセルフメイド、すなわち自力で財を築いたメンバーがいないこと。 今年の長者番付の第12位で世界一の女性富豪となったのはロレアルの後継者であるフランソワーズ・ベッテンコート・マイヤーズ。 女性第二位の富豪はウォルマートのウォルトン・ファミリーのアリス・ウォルトン。 それ以外にもジェフ・べゾスとの離婚でビリオネアになったマッケンジー・スコット、スティーブ・ジョブスの未亡人、ローレン・パウエル・ジョブズ等、 離婚や相続が絡まないと女性はマルチビリオネアになれないのが現状。
フォーブス誌のリストが発表された当日、キム・カダーシアンが 長年言われてきた「リアリティTVとソーシャル・メディアでのし上がっただけで才能ゼロ」という批判に 当てつけるかのように ”Not bad for a girl with no talent (才能がない女の子にしては悪くないでしょ)” とツイートしていたけれど、 彼女については そのビリオンを構成するコアのビジネス2つがオーバーヴァリューなので、 果たして本当にビリオネアかどうかは微妙なところ。 でも同じことは世の中の多くのビリオネア、マルチミリオネアにも言えることで、 だからこそ”ペーパービリオネア”、”ペーパーミリオネア”という言葉が存在しているのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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