国民が戦争疲弊していた今週のアメリカは NYで日中の気温が連日30度を超え、中西部の複数の州では巨大な竜巻と大洪水が歴史的な被害をもたらしており、
「神の怒りに触れた」と言われる異常気象に見舞われたけれど、
そう言われた原因は トランプ氏がSNSで自分を神に見立て、ジェフリー・エプスティーンそっくりの男性に救いの手を差し伸べる生成AI画像を公開したため。
トランプ支持基盤のキリスト教保守右派から猛反発を受けたこの画像について、トランプ氏は「自分がレッドクロスの一員として救助する様子」と説明。
「自分のユーモアを解する人が居なかった」と画像を削除したけれど、削除後も続けたのが米国人ローマ法皇、レオ14世に対する批判。
「法皇は犯罪に緩く、外交問題を理解していない」と、バイデン前大統領と同じ台詞で法皇を攻撃し、「バチカンが彼を選んだのはドナルド・トランプとのやり取りに米国人の方が有利だからだ」と
自分のお陰でレオ14世が即位したと投稿。
キリスト教信者からは「法皇に謝罪すべき」との反発が聞かれたけれど、謝るくらいなら更に追い打ちを掛けるトランプ・スタイルはここでも健在。
今週半ばにトランプ政権はマイアミ・カトリック慈善団体への1100万ドルの補助金を突然打ち切ると発表。
今後はトランプ氏によって設置された 反キリスト教偏見撲滅タスクフォースや、大統領執務室があるウェストウィングに新たに設置されたホワイトハウス信仰事務所など、
トランプ・ファーストのキリスト教団体を中心に支援金を払う方針を固めているのだった。
トランプ氏を神に見立てたAI画像でキリスト教信者がトランプ氏を「アンチクライスト」と呼び、反旗を翻した様子には、
リベラル派が 「自分の健康保険や住宅&食糧補助を失い、物価高による生活苦を強いられ、勝手に戦争を始めてもトランプを支持した人々が、あの画像1枚で気持ちを変えるなんて…」と
驚いていたけれど、トランプ氏は昨年にも自らをローマ法皇に見立てたAI画像を公開。第一期政権下では教会の前で聖書を逆さまに持ってパブリシティ・スタントを行い、
トランプ・グッズとして著作権が無く、通常2~6ドルで販売されている聖書を中国産のブックカバーを付けて60ドルで販売しており、
これら全てが敬虔なキリスト教信者にとって許容範囲だったというのは、リベラル派でなくても理解に苦しむところ。
AI画像やローマ法皇批判の前にも、「イラン国民全員の滅亡」を投稿していたトランプ氏に対しては、
MS NOWの医療アナリスト、ヴィン・グプタ博士が、「不安定」、「文章が完結しない」、「頻繁に混乱する」、「思考が支離滅裂」、「言葉が出てこない」、「これらの症状が徐々に悪化している」ことから、
認知症の兆候を満たしていると発言。同様の指摘は昨年から聞かれており、特に一国の大統領が「Ping Ping Ping」、「Bing Bing Bing」と
軍事作戦を含む様々な状況を言葉ではなく効果音で語る様子は、夜のトークショーのジョークのネタになってきたもの。これを受けて先週金曜には民主党ラスキン下院議員が、
ホワイトハウスの主治医にトランプ氏の認知能力に関する包括的な評価を要請。
そのトランプ氏は昨年認知症テストを受け、それをIQテストと勘違いして、「とても難しい、民主党の低IQ議員にはクリアできない」とコメントして失笑を買ったことがあるのだった。
今週のアメリカは確定申告締め切りを迎えていたけれど、トランプ政権の「No Tax on Tip(チップへの課税なし)」政策を国民にアピールするために
ホワイトハウスにマクドナルドのデリバリーを届けにやって来たのが、米国フード・デリバリー最大手、ドアダッシュのパートタイム・ワーカー。
今年70歳で、ガンの夫の治療費を払うために働いているという女性は、トランプ氏の横に立って記者からの質問を受け、「チップに課税されなくて、本当に助かっている」とコメント。
しかしトランプ氏に「男(トランスジェンダー)が女性のスポーツをプレーすることをどう思う?」と他の問題を尋ねられた際には、「No Tax on Tipのために来ただけですから」と語るに止まっていたのだった。
後日この女性は、昨年7月に共和党が「One Big Beautiful Bill」の可決に躍起になっていた際、ネバダ州で開催された
歳入委員会の公聴会でも証言していたリサイクル・キャラクターであることが発覚。
夫がガンで70歳になっても働いているのは事実ながら、彼女の収入レベルでは税金を支払う必要は無く、彼女自身は「No Tax on Tip」の恩恵を一切受けていないだけでなく、
ネヴァダ州での証言も、本来ならビリオネア減税のせいで健康保険助成金や生活補助が減らされて抗議すべき立場にも関わらず、共和党が用意したシナリオで証言していたことが明らかになり、
政治というものがパフォーマンスによって有権者を欺くことで成り立っている様子を 改めて感じさせていたのだった。
2025年7月から2026年1月にかけてフランス政府が行っていたのが、NY連邦準備銀行に預けていた約129トンの金塊を本国に戻す作業。
第二次大戦以降、多くの国々が米国連邦準備制度(特にNY連銀)にゴールドを保管しているけれど、その理由は世界取引の中心地であるNYにゴールドを預けることで、
輸送のリスクとコストを省いて取引の決済、金の売買が行える利便性、高度なセキュリティ、そして何よりアメリカが世界の秩序を守る覇権国として歴史的な信頼を確立していたため。
フランス政府は現物の金塊を移送せずに一度市場で売却。欧州で買い直すことで約150億ドルのキャピタルゲインを得ながら、国家準備金を全てパリに集約。
アメリカは1920年代以降初めて、フランスのゴールド保有がゼロになったけれど、この背景にあるのは第二期トランプ政権以降 アメリカの信頼が失墜し、
フランス政府が米国金融システムへの依存度を下げるべきと判断したためで、同じことを目論む国は決して少なくないのだった。
そしてゴールド引き上げた直後の2月にフランス政府が行ったのが、サイバー犯罪部門による X(元ツイッター)のパリ・オフィス家宅捜索。
児童ポルノや陰謀説、生成AIによるディープ・フェイクを拡散する Xの運営の合法性についてイーロン・マスクに事情聴取を行うとしており、
パリ検察庁はXを通じた情報発信を今後行わないと発表。Xに対する捜査はイギリスとEUも進めており、
欧州政府が米国IT大手に対し 「欧州でビジネスをするなら自分達のルールに従え」という圧力を掛け始めたのも、
米国の信頼が失われ、その依存からの脱却に向かっているからこそ起こる現象なのだった。
米国依存からの脱却は武器の世界でも顕著で、昨年まで武器の70%をアメリカから輸入していたカナダのカーニー首相は先週末、
「今後は国内サプライヤーを優先する」と宣言。2026年のカナダの防衛予算は500億ドル以上で、アメリカは350億ドルもの武器バイヤーを失った計算。
とは言ってもウクライナ、イランの2つの戦争に加え、次にキューバに攻め入ると宣言しているアメリカは、深刻な武器不足に見舞われ、
輸出をしている余裕など無い状況。
そんな今週、高市政権が承認したのが武器輸出の規制緩和。
第二次大戦以降、表向きには兵器市場に関わっていない日本は軍事費に600億ドルを投じており、
潜水艦や戦闘機等、先進的武器やその部品の製造技術を持つのは周知の事実。日本の兵器産業規模は韓国、ドイツ、イタリア、イスラエルと同等、インドのほぼ2倍で、
既にポーランド軍とフィリピン海軍との間で進んでいるのがかなり具体的な商談。東芝、三菱電機は海外工場を中心に需要対応のための人員増強と、生産能力拡大に取り組んでいるようなのだった。
これまでは世界秩序を守りながら、軍事サプライチェーンを支配してきたのがアメリカ。
しかし米国武器メーカーの納入遅延やコスト上昇、防衛技術の厳格管理は 長年に渡って買う側の不満を高めており、
現在のトランプ政権下では アメリカが世界秩序を乱す側。そのため米国に依存しない防衛サプライ・チェーン構築は各国にとって急務で、
規制緩和により日本からの武器調達が可能になることを歓迎する国は多いとのこと。
今週には北朝鮮が核兵器生産能力を更に拡大し、7回目の核実験に踏み切る可能性が報じられたけれど、
トランプ氏が次から次へと攻撃ターゲットを設定し、簡単に戦争を始める現在は、
世界中の国々が突如始まる戦争リスクに備える時代。
そのため各国の軍事費が増大し、軍事産業が売り上げを伸ばすのは当然のシナリオと言えるのだった。
![]() |
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |


当社に頂戴した商品のレビュー、コーナーへのご感想、Q&ADVへのご相談を含む 全てのEメールは、 匿名にて当社のコンテンツ(コラムや 当社が関わる雑誌記事等の出版物)として使用される場合がございます。 掲載をご希望でない場合は、メールにその旨ご記入をお願いいたします。 Q&ADVのご相談については掲載を前提に頂いたものと自動的に判断されます。 掲載されない形でのご相談はプライベート・セッションへのお申込みをお勧めいたします。 一度掲載されたコンテンツは、当社の編集作業を経た当社がコピーライトを所有するコンテンツと見なされますので、 その使用に関するクレームへの対応はご遠慮させて頂きます。
Copyright © Yoko Akiyama & Cube New York Inc. 2025.