"Do You Pay $335 For EMP's 10 Course Vegan Menu?”
新生イレブン・マディソン・パーク、NYタイムズが酷評したヴィーガン・メニュー、
課税前$335、11コース全料理をご紹介!

Published on 10/8/2021


パンデミックのロックダウン以降15カ月に渡ってクローズしていたイレブン・マディソン・パークがリオープンを果たしたのは2021年6月のこと。
リオープンと同時にアニマル・プロダクトを排除したヴィーガン・レストランに生まれ変わった同店は、 その話題性も手伝って、ウェイティング・リストに向こう数ヵ月分の予約が連なる大人気が伝えられていましたが、 その新生イレブン・マディソン・パークのヴィーガン・メニューを9/23日付けのNYタイムズ紙ダイニング・セクションで酷評するレビューを書いたのが フード・クリティック、ピート・ウェルズ。
イレブン・マディソン・パークと言えば、ピート・ウェルズ自身も2015年のレビューで最高の4つ星を与え、ミシュランでも3つ星、2017年には ワールド・ベスト・レストランンのNo.1に輝いた存在。 そんな同店のヴィーガン・メニューに対しては、ファイナンシャル・タイムズ紙が「今までに無かった味わい。これまで味わった中で最もセクシーなディナー」、 ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「彼の顧客、そして世界を野菜ディッシュのラグジュアリー、サプライズ、すばらしさで刺激した」と絶賛。 唯一批判を展開していたレストラン・ブログのEaterにしても「イレブン・マディソン・パークは未だワールドクラスのヴィーガン・レストランとは言えない」という 控えめな否定であったのに対して、ピート・ウェルズは「美味しい訳でも、食欲をそそる訳でもない」と叩いただけでなく、 「あの料理に335ドルは高すぎる」とそのヴァリューにも投げかけたのが疑問と批判。

それ以外にも同店がシークレット・ミート・ルームで、ヴィーガン・レストランでありながら肉をサーヴィングしていることを明らかにして 物議を読んだのがこのレビューでしたが、これによって浮上してきたのが イレブン・マディソン・パークの11コースのヴィーガン・メニューに 335ドルを支払う価値があるかという疑問。
ちなみに335ドルは課税前のお値段で、イレブン・マディソン・パークはチップ制を廃止して久しいので、サービス料は込み。 ワインをペアリングした場合はこれに更に175ドルが加算され、キャンセルの場合は返金はしないという厳しいポリシー。 しかも予約時に料金を支払うことになるため、2人で予約を取った場合 税込みの800ドル以上が先払いというのが同店。
以下ではそんな新生イレブン・マディソン・パークのヴィーガン・メニューの全アイテムをご紹介。 果たして、その料金を支払う価値があるかを検証します。




★ Eleven Madison Parl 11コース $335 (課税前、ドリンク別) のメニュー ★


写真上は左より ”Tea with Lemon Verbena” / レモンの香草のヴェルビナをあしらったトマト・ティー。あっさりした口当たりながらトマトの風味がヴィヴィッド。

中央は ”Magic Farms Tomatoes with Garlic and Sancho Leaf” / ジンフィズ・トマト、チェロキー・トマト、エアルーム・トマトという3種類の夏のトマトにガーリックとサンチョリーフの クリアなドレッシングをあしらった軽いアペタイザー。

右は ”Yellow Tomato Dosa” / ドーサはインド南部のクレープで、頻繁にトマトのチャツネとサーヴィングされるもの。イレブン・マディソン・パークでは、イエロー・トマトのチャツネをラップしてサーヴィングしています。 このメニューはヴィーガン・メニューになる以前から存在していたもの。



写真上は左より ”Tonbri with Peas and Baby Lettuce” / ほうき草を加工した日本の食材、とんぶりは日本の別名は「畑のキャビア」、英語では「Land Caviar」、「Field Caviar」と呼ばれる プリプリした食感。EMPのウェブサイトでは「秋田の精進料理で出される食材」と説明されていて、日本からの直輸入品。 「見た目には食欲をそそらない」との声が聞かれるディッシュ。季節に応じてベイビー・レタスの代わりにミントや他のグリーンリーフがマメと一緒にサーヴィングされます。


中央は ”Cucumber with Melon and Smoked Daikon” / 緑色で統一されたディッシュは、ボトムがアボカドようなペーストで、その上にハーブや海藻を乗せた後、 米粒の半分ほどのサイズに刻んだキュウリ、スモークした大根、メロンをトッピングして、抹茶パウダーを振り掛けて、ハーブを飾って仕上げるというもので、「新しい旨味を引き出した」と同店自画自賛のメニュー。 プレゼンテーションはヴィーガンになる前のダニエル・ハムの料理にありがちなスタイル。

右は ”Squash with Sesame Tofu and Lemongrass” / サマー・スクワッシュと胡麻豆腐、、そしてレモン・グラスをあしらったもので、食材や プレゼンテーションには日本食、懐石料理の影響が多大。




写真上左より ”Fried Sweet Peppers with Swiss Chard” / その名の通り 焼いた甘いスウィート・ペッパーをスイス・チャードの葉に乗せたもの。 薬味で味に変化をもたらすようにデザインされています。 ヴィーガンになる前のメニューであれば、魚料理に匹敵するのがこのディッシュと、その前にサーブされたスクワッシュのディッシュ。

中央は ”Beet with Lettuces and Herbs” / ヴィーガン前のメニューであれば肉料理に当たるのがこのディッシュと次のエッグプラントの料理。 塩釜の中でチャードの葉っぱで包んだビーツを焼き上げ、ワゴンでテーブルサイドに運び、来店客の前でハーブで包んだビーツを取り出し、 それをレタスに包んでから 濃厚に煮詰めたビーツの甘いソース兼ジュースを掛けるという手の込んだプレゼンテーション。ビーツをビーフに仕立て上げようとした努力が感じられるものの、 やはりビーフにはなれないという味わい。

右は ”Roasted and Grilled Eggplant with Shiso and Coriander.” / ヴィーガン・メニューになる前のコースのダックのディッシュを彷彿とさせるプレゼンテーション。 見た目は美しいものの、ヴィーガンでない人にとってはこの辺りで肉の深みのあるジューシーな味わいが欲しくなるところ。季節によってはシソの代わりにトマトが代用されます。



写真上左より ”Melon Smoked and Fresh with Yogurt” / スライスした2切れのメロンのうちの1切れをスモークし、もう1切れはフレッシュなまま。 中央をカットして繊細なヨーグルト・ソースのスタッフィングをしたもの。

左から2番目は ”Blueberry with Elderflower and Vanilla” / ヴィーガン・メニューになる以前にも類似したデザートがありましたが、これは乳製品を使わないノン・デイリー・バージョン。

右から2番目は ”Sesame Chocolate Petzel” /  スタンドに掛けた状態で最後にサーヴィングされるのがこのセサミ・チョコレート・プレッツェル、 これはヴィーガンになる以前からディナーの最後に同じプレゼンテーションで出て来ていたもの。 お土産には、翌朝のブレックファスト用に ホームメイド・グラノラを持たせてくれるのも 従来通り続いています。

一番右は ”Sunflower Butter with Bread Rolls” / コンプリメンタリーで出されるのでメニューには載っていませんが、NYタイムズのピート・ウェルズが唯一賞賛したディッシュで、 ホームメイドのブレッド・ロールとサンフラワー・バター。このパンはピート・ウェルズだけでなく 新生イレブン・マディソン・パークで食事を味わった誰もが絶賛する味わいになっています。



イレブン・マディソン・パークのシェフ、ダニエル・ハムはこれまで日本の食材の取り入れ、ヨーロピアン・スタイルのクッキング、コペンハーゲンの世界No.1レストラン、ノーマの影響が感じられる コースの組み立てとミニマリズム、そしてアメリカン・コマーシャリズムがミックスしたスタイルで知られてきましたが、 ヴィーガン・メニューはミニマリズムと日本の食材はそのままに、これまで以上に手間をかけて食材の味を「旨味」と称して捻じ曲げようとしているとも言われるもの。
多くのグルメ層にとっては、以前のメニューの方が遥かに魅力的ではあるものの、一部の富裕層は NYタイムズのレビューが出て以来 シークレット・ミート・ルームで肉を味わうステータスを求めるようになっており、ピート・ウェルズのレビューのお陰でプライベート・ルームの人気が高まったと言われるのが現在。 また「怖いもの見たさ」の心理か、ドリンクと税金を合わせて軽く600ドルを超える食事が 「どれだけ手が掛かっていて、美味しくないかを実際に一度はトライしてみたい」と考える富裕層が多いのもニューヨーク。 そのため惨憺たるレビューが出た後も予約がギッシリの同店ですが、 果たしてその客足にサステイナビリティがあるかは 今後が見守られるところ。

ちなみに同様の現象は2001年のパリでも起こっていて、当時の有名人気レストラン、L’Arpege / ラルページュのシェフ、アラン・パッサードが 突如ヴェジタリアン・メニューに転向して 衝撃を与えたことがありましたが、彼の場合も評判は芳しいものとは言えず、 後に動物性たんぱく質を再びメニューに取り入れる結果となっていました。

最後にイレブン・マディソン・パークのは前述のようにキャンセルによる返金はしないポリシーですが、一定期間内であれば 1回のみ予約変更を引き受けてくれることになっています。

Eleven Madison Park
11 Madison Ave, New York, NY 10010
TEL: (212) 889-0905
ウェブサイト:https://www.elevenmadisonpark.com/



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