ロサンジェルスのサンタモニカ・ブルバードに現地時間7月21日、午後4時20分にオープンしたのがテスラ・ダイナー。
オープン時間はマリファナを意味する数字”420”にマスクがこだわって設定したもの。
このプロジェクトは、常に株主総会で「オーバープロミス、アンダーデリバリー」と批判されるテスラにとって、
事前に宣言したタイムテーブル通りに実現した初めてのもの。
トランプ政権下でDOGEを率いて以来、すっかり不人気になったイーロン・マスクとは言え、オープニング前にはマスクラット(マスクの信仰者)達が行列する様子が報じられたけれど、
現地でテスラを運転している人々は、開店の数日前から車内ディスプレーにテスラ・ダイナーのアプリが表示されるようになっていたとのこと。
スーパーチャージャーが80台設置された24時間営業、年中無休の同ダイナーは、実際にテスラ・オーナーにとっては 食事中にバッテリー・チャージができる有難い施設。
加えてテスラのドライバーは、車載アプリを使って車内から テイクアウト、もしくはデリバリーをオーダーすることも可能。
その場合、ダイナーに到着して15分以内に店内に入ると、ジオフェンスが作動して注文の準備が始まるとのことなのだった。
店舗デザインは、ダイナー特有のレトロ・ディテールをフィーチャーしながらも、建物全体は円盤型スペース・シップのような作り。
真っ白い店内のモダンでフューチャリスティックな雰囲気は 宇宙船内のカフェテリアのようなイメージ。
敷地内の屋外には高さ13メートルの巨大なムービー・スクリーンが2つ設置されていて、ドライブイン・シアターとしても機能するのがこのダイナー。
もちろんルーフトップのアウトドア・テーブルからも、シアターが楽しめるセッティング。
店内ではテスラ・ダイナーTシャツ、ベースボール・ハット、テスラ・スウィート(グミの詰め合わせ)、そしてテスラボットのアクション・フィギュア(人形)といったオリジナル・プロダクトの販売も行われ、
テスラのヒューマノイド・ロボットが ポップコーンをサービングするというシンプルな業務でリアルライフ・デビュー。
コンセプトとしては、1950年代にロサンジェルスで人気を博したレトロ・ダイナーを未来的なデザインで再現した テスラのテーマ・レストランなのだった。
メニューには テスラ バーガー($13.5)、ホットドッグ($13)、ダイナークラブ・サンドウィッチ($13)、ツナメルト($14)、フライドチキン&ワッフル($15)、グリルドチーズ・サンドイッチ($9)が並び、
24時間提供される朝食メニューは エッグ・サンドイッチ($12)、アボカド・トースト、ギリシャ・ヨーグルト・パフェ($9)、ブレックファスト・タコス($9)、ビスケット&グレービー、自家製シナモンロール($7)。
サイド・メニューのラインナップは フライドポテト($4)、ハッシュブラウン($8)、和牛チリカップ($8)、バターミルク・ワッフル($5)、マーケット・サラダ($10)、そして”エピック”ベーコン(4枚で$12)。
それとは別にキッズ・メニューも3点用意され、いずれも13ドル。
デザートはソフトクリームが6ドル、パイ・アラモードが12ドル、チョコレートチップ・クッキーが5ドル。
そしてソフトドリンクはドリップ・コーヒーやレモネードが4ドルからで、最高額はコンブチャの10ドル。
メニューに記載された説明によれば、テスラ・ダイナーで使用される食材の大半は、信頼出来るソースから仕入れたサステイナブルなローカル・プロダクト。
しかもテスラのフル充電で走行できる距離圏内の生産者からの調達。
とは言ってもテスラの走行距離はモデルによって大きく異なり、どのモデルの走行距離を基準にしているが明記されていないことから、
「偽善的なジェスチャー」とも指摘されているのだった。
イーロン・マスクは、テスラ・ダイナーのフードについて「エピック(最高)と思えないものは、全てメニューから排除した」と語っているけれど、
既にネット上に出回っている 実際に味わった人々のレビューは、ネガティブが多いミックス・リアクション。
絶賛されているのは店舗デザインとコンセプト、そしてシェイクの味。
フライドポテトやハッシュブランは、アヴェレージ。ハンバーガーとサンドイッチ類は、開店直後でスタッフもオペレーションに不慣れとあって
「ひどい味」と酷評する声もあれば、LA名物の「イン&アウトよりマシ」という声もあり、中には「シェイクシャック並みに美味しいかも…」という声もあったのだった。
歴史を遡れば、ファストフード・レストランはフォードの自動車工場のオートメーションをモデルに誕生したもの。
それだけに、テスラによるファストフード・ダイナーの経営ぶりには 自動車会社としての手腕も問われそうであるけれど、
今後多店舗展開を行う見込みのテスラ・ダイナーのビジネスを左右するのは、フードやサービスよりも イーロン・マスクのポピュラリティ。
幸いマスクは、トランプ政権を去り、6月にはエプスティーン・スキャンダルに世間の注目を注がせたことで、春先に比べればその評判は上昇中。
しかし「DOGEに解雇された26万人の政府職員は決して来店しないだろう」と言われる一方で、
テスラ株主の間では 「利益率が低いダイナー経営より、ロボタクシー、セルフドライビング・テクノロジーを完成させてほしい」という声が聞かれるのだった。
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