Media Impact of Coldplay Kiss Cam Scandal
MEMEからグッズまで登場! CEO不倫がこの夏最大のカルチャー現象に!?
コールドプレイ・キスカム・スキャンダルのメディア・インパクトを検証

Published on 7/22/2025


7月3週目にアメリカのみならず、世界中で大報道となったのが、7月14日火曜日にボストンのジレット・スタジアムで行われたコールドプレイのコンサートのキス・カムで発覚したAI企業、 アストロノマーのCEO、アンディ・バイロン(50歳)と、同じ会社の人事エグゼクティブ、クリスティン・キャボット(52歳)の不倫。 お互いの腕を絡めながら仲睦まじくしていた2人が、キス・カムに捉えられたのを悟った途端に、慌ててお互いから離れて逃げた様子を捉えたTikTok映像は、 僅2日間に5700万ビューイングを獲得。そしてメインストリート・メディアがこのニュースを報じたのは木曜のこと。 これに関してアストロノマー社が金曜夜まで一切声明を出さずにいたこともあり、その間にインターネット上には噂やデマを含む誤情報やなりすまし声明文、フェイク・コメント、陰謀論、 なりすましアカウントが溢れる事態を招き、#ColdplayGate(コールドプレイの陰謀)というハッシュタグがヴァイラルになる有り様。ネット社会の恐ろしさをいろいろな形で露呈したのがこの一件。
アストロノマー社が声明を発表した時点では、ビデオが更に拡散されたのはもちろん、木曜日を前後した僅か24時間でアストロノマーに関するニュース記事は2万2000件以上、 アンディ・バイロンに関するニュースは約9000件がネット上にアップ。
当日スタジアムで、ヴァイラル・ビデオを撮影したグレース・スプリンガー(28歳)は、メディアのインタビューに応え、「まさかあの2人がそんなハイプロファイルな人物だったとは。 もし普通にカップルとして振舞っていたら、本人を知る人以外は何とも思わなかったはず。あんなリアクションをしたから大事になったのだと思う」と語っており、これには多くのインフルエンサーも全くの同意見なのだった。



あっという間のID判明から始まったSNSリアクション


コールドプレイのコンサート中、クリス・マーティンが「あの2人を見て見ろ、不倫をしているか、とんでもなくシャイかのどちらかだ」とからかうようにコメントしたシーンは上のビデオの通り。 自分達がジャンボ・スクリーンに映っているのに気付いた途端、アンディ・バイロンが「F**king hell, it's me!」と口走ったことが、 ビデオの唇の動きから明らかになっていたけれど、ビデオ拡散のスピードと同時に世間を驚愕させたのが 2人のID確定の早さ。
アストロノマーはAIスタートアップの中では まだ小規模。2023年からCEOを務めるバイロンは、時折ケーブル・ビジネス・チャンネルに出演することがあるとは言え、一般人の間での知名度はほぼゼロ。 そのことは2024年に同社人事部にチーフ・ピープルズ・オフィサーと迎えられたクリスティン・キャボットも然り。
金曜夜に発表されたアストロノマー社の声明では、「正式な調査に入った」との報告に止まっていたものの、翌日の声明ではアンディ・バイロンのCEO辞任を発表。 加えてオンラインで拡散された「アストロノマー社人事部の別社員もコンサートに同席していた」という、まるで社内公認の不倫であったかのような誤情報を全面否定。 アストロノマー社は 今年5月にベインキャピタル、セールスフォース等の大手出資者から9,300万ドルの資金調達し、その時価総額が12~13億ドルに達したばかり。 業績もさることながら、企業イメージも極めて大切な時期を迎えているのだった。

コンサートの翌日にはアンディ・バイロン、クリスティン・キャボットが共に 批判メッセージが殺到したLinkedInのアカウントを削除したけれど、同様にSNS対応を強いられたのがバイロンの妻、メーガン・ケリガン。 彼女のフェイスブック・アカウントには 同情の声や「あんな男とは離婚してしまえ」といったメッセージが大量に寄せられ、 メーガンは2人の息子達を含む家族写真を全てフェイスブック上から削除。その後自分の名前をメーガン・バイロンから メーガン・ケリガン(旧制)に変更。さらに報道が大きくなった木曜にはプロフィール全体を削除し、投稿写真も全て消去したのだった。
アンディ&メーガン夫妻は、それぞれ別住居で暮らしていることが確認されたことから、その日のうちにSNS上では2人の離婚説が取り沙汰され、アンディが妻に約4000万ドルを支払うとの説が浮上。 しかしアンディ・バイロンの個人資産は2000~7000万ドルと見込まれており、マサチューセッツ州の法律では 婚姻時代に得た財産をフィフティ・フィフティに分けることになるのだった。



ショーン・コムズ裁判、トランプVSマスク、ローマ法王死去並みのニュース・バリュー


一方、クリスティン・キャボットの夫はマサチューセッツ州に拠点を置く酒類メーカー、プライバティア・ラムのCEO、アンドリュー・キャボット。彼とは未だ結婚しているという説と 3年前に離婚しているという説があり、アンドリュー・キャボットは1993年と2014年に2度結婚した記録があることから、恐らく2度目がクリスティンとの結婚と見られているのだった。 彼は最初の妻との間には2人の子供がいるようで、2人が未だ結婚していると言われる理由は、今年2月に夫婦名義でマサチューセッツ州ウォータータウンにある180万ドルの邸宅を売却し、同じく2月に夫婦名義で ニューハンプシャー州ライの海辺の町に220万ドルの豪邸を購入したことが不動産記録に残っているため。しかしバイロン夫妻同様、こちらの夫婦も現住所は異なっているのだった。
削除されたクリスティンのLinkedInプロフィールによれば、彼女は2020年からプライバティア・ラムの「諮問委員会メンバー」を務めており、 アンドリュー・キャボットのラム酒会社も、不名誉な形で知名度を高める結果になったのだった。
クリスティの処遇は、調査が終わるまで謹慎処分とのこと。また彼女の年齢は52歳という報道と56歳という報道が入り混じっているのだった。

アンディ・バイロンは不倫が報じられてからというもの そのパワハラ型のマネージメント・スタイルがかつて所属していた企業のスタッフから批判され、 アストロノマー社内からも匿名の批判が出た一方、クリスティン・キャボットは社内で「バイロンは自分に絶対の信頼を寄せている」と自慢していた様子が やはり社内スタッフに証言されており、バイロンCEO就任以来、AIブームに乗って業績こそ290%アップしたものの、職場カルチャーにはさほど好影響では無かった様子。
このスキャンダルの関連記事は 僅か2日で1500万人以上に閲覧され、平均読者数はショーン・ディディ・コムズのセックス・トラフィッキング裁判、トランプ大統領VSイーロン・マスクの確執、フランシスコ教皇の死去と 同レベル。 Googleアナリティクスによれば、”Astronomer”の検索数は同社の過去最高を 何十倍も上回る急上昇を見せていたのだった。



この夏最大のカルチャー・フェノメノン


バイロン、キャボットそれぞれが人生の深刻な局面を迎えたのとは正反対に、「他人の不幸は蜜の味」と言わんばかりの盛り上がりを見せたのがネット上。 生成AIによりクリス・マーティン本人が 告白したように製作された #ColdplayGateビデオによれば、 「キス・カムは2人の不倫を暴くために、あらかじめバイロンの妻から依頼されて仕組まれた」というのがその陰謀説。
MEMEも数多く登場し、2人をモチーフにしたフェイク商品から、本物の商品までもが登場。 MLBフィラデルフィア・フィリーズのスタジアムでは、チーム・マスコットがバイロン&キャボットの腕を絡めるポーズを再現する様子がジャンボスクリーンに映し出され、 スタジアムの爆笑を買っていたけれど、MEMEで最も多いのが このポーズのパロディ。
メディア&コミュニケーション専門家は、「スキャンダルに対するアストロノマーの企業としての対応が遅すぎた」と批判するものの、 その間に拡散された なりすましフェイクや、ミスインフォメーション、ジョーク、MEMEの数々のお陰で、 2人の不倫だけでなく、アストロノマーの社名が世界中にあっという間に知れ渡ったのは紛れもない事実。 その広告効果は「数千万ドルの広告費を投じても得られない」とまで言われる規模なのだった。
ちなみに前回アメリカでCEOの不倫解任が大報道になったのは、2019年にマクドナルドのCEO、スティーブ・イースターブルックが 従業員と関係を持った際。しかし一度解雇して新たなCEOを迎えれば、企業イメージは一新されるのが常。 アストロノマー社のAIソフトは、既にUber、アップル、LinkedIn等の大手クライアントに活用されており、 今後アストロノマー社がスキャンダルの知名度を利用して、ビジネス拡大が図れる可能性は十分にあると見込まれるのだった。


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ヴァージニア・ジフレの生涯 フェイバリット・オブ・ザ・ウィーク Yoko Akiyama アメリカ人国外脱出

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