AIスタートアップで 30歳にして史上最年少のセルフメイド 女性ビリオネア、
ルーシー・ガオがフェイクAI富豪と違う点
Published on 8/14/2025

今年4月に総資産13億ドルで、テイラー・スウィフトを抜いて 世界最年少の自力で財を築いた女性ビリオネアになったのがルーシー・グオ(30歳)。
彼女の富の大半は、2016年に世界最年少でセルフ・ビリオネアとなった、アレクサンダー・ウォンと共同設立したデータ・ラベリング企業、”Scale AI/スケールAI”から生まれたもの。
ルーシー自身は2018年に同社を離れたものの、株式の5%を今も所有しており、今年4月にスケールAIの株式が公開され、時価総額250億ドルに達したことで、
世界に5人しかいない40歳以下の女性セルフメイド・ビリオネアの仲間入りを果たしたのだった。
スケールAIを離れてからの彼女は、クリエイター・プラットフォーム「Passes」を創業し、現在CEOを務めるアントレプレナー。
マイアミに高級コンドミニアム、ロサンゼルスに3000万ドルのコンドミニアムを新規購入し、それ以外にもLAには邸宅を所有する彼女ながら、
ウォーレン・バフェットも真っ青のフルーガル(節約家)・ライフスタイルで知られる存在。
2025年に欧米のメディアが最も注目するビジネス・ウーマンになっているのだった。

ルーシー・グオは、レッドカーペット・オケージョンのためにデザイナーズ・クローズを何枚か所有しているものの、日頃はSHEINで購入した服を着用。
フェラーリを所有しながらも、オフィスやミーティングに出向く際はアシスタントが運転するホンダ・シビックで移動。
彼女の信条は、「Act Broke, Stay Rich」、すなわち「貧乏人のように振舞い、裕福さを保つ」というもの。
メディアの取材でも 「お金を無駄にしたくない」とキッパリ語り、「ホンダ・シビックで到着しても、『この人お金がない』なんて言われることはありませんから、
車種なんてどうでも良いんです」と余計な見栄を張らない主義を披露。
ビリオネアながらプライベート・ジェットは利用せず、長距離フライトはビジネス・クラスでの移動。
食事もUber Eatsで調達しているとのことで、1回の利用につき、1回無料デリバリーの特典をフル活用しているとのこと。
自炊や食料品の買い出しの時間を省いて彼女が通うのはもっぱらジムで、全米で展開する大手ジムのバリーズで、30分のウェイト・トレーニングと30分の有酸素運動という激しいトレーニングを行うのが日課。
そして休暇中でも1日8時間は働くことは珍しくないとは言え、
大好きなレイブ・コンサートには、例え遠方でも友人達を誘って頻繁に繰り出すようで、人生を楽しむことにも貪欲な姿勢を持っているのだった。

電気技師である中国系移民の両親に育てられ、サンフランシスコ・ベイエリアで育ったルーシーは、幼い頃から「稼ぎたい」というビジネス欲求を持っており、
ティーンエイジ時代にはポケモン・カードを販売。 その後はフェイク・ストリーミング・サイトを立ち上げ、戦略的に配置された広告バナーによって収入を得ていたというしたたかさ。
チャンスが来るのを待つよりも、積極的にチャンスを探し求める彼女は、様々な副業に挑戦してきたという。
ハイスクールに進学する頃には、Neopets、RuneScapeなどのゲームを使ってオンラインで収入を得る技術を習得。
さらに独学でコーディングを習得し、一般人のようにインターネットを生活のリソースとして使うのではなく、
自分のキャリアのためのトライアル、トレーニングの場として活用。
大学ではダブル・メジャー(2つの学部の就学)で勉学に勤しんだものの、2014年、修了まであと数単位という段階でドロップアウト。
億万長者の投資家で、フェイスブックの初期インヴェスターとしても知られるピーター・ティールによる 若手起業家のスタートアップを支援するプログラム「ティール・フェローシップ」に参加。
そして程無く、前述のアレクサンダー・ウォンと共にスケールAIを立ち上げたことで、若くしてセルフメイド・ビリオネアになったのが彼女。ちなみにスケールAIは2025年6月に
その株式の49%をフェイスブックの親会社メタが買収。メタは143億ドルをスケールAIに投資すると発表しているのだった。

他人をフォローせず、自分の嗅覚に従って、自ら探し当てたチャンスを切り開く決断力と行動力を持つルーシーやパートナーのアレクサンダー・ウォンが、
若くしてビリオネアになった要因は、AIを 個人が使いこなすテクノロジーではなく、
社会をシステムごと変革するテクノロジーとして捉え、早い段階からベンチャー・キャピタルの支持と資金を得て一歩先を目指して来たこと。
実際に現在IT業界で起こっているのは、AI開発に長けた人材だけがもてはやされ、それ以外のエンジニアの仕事はAIが取って替わる状況。
前述のMETAはチャットGPTを開発したオープンAIからの人材引き抜きに、1億ドルという破格の報酬を提示したほどで、
それをメタが支払う理由は、その他大勢の人件費が削減されるため。
従業員が会社でAIを使って仕事をする時代は既に終わりつつあり、AIで勝ち組になれるのはトップクラスのAIエンジニアと、ルーシー・ガオのようにビジョンを持ってAI企業を立ち上げるアントレプレナーのみ。
それを悟っているジェネレーションα世代は、企業に就職するよりAIを使ってビジネスを立ち上げようという傾向が高まっているようで、
30歳にしてセルフメイド・ビリオネアになったルーシー・ガオの存在は、そんな若い世代のモチベーションになっているのだった。


![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |




★ 書籍出版のお知らせ ★


当社に頂戴した商品のレビュー、コーナーへのご感想、Q&ADVへのご相談を含む 全てのEメールは、 匿名にて当社のコンテンツ(コラムや 当社が関わる雑誌記事等の出版物)として使用される場合がございます。 掲載をご希望でない場合は、メールにその旨ご記入をお願いいたします。 Q&ADVのご相談については掲載を前提に頂いたものと自動的に判断されます。 掲載されない形でのご相談はプライベート・セッションへのお申込みをお勧めいたします。 一度掲載されたコンテンツは、当社の編集作業を経た当社がコピーライトを所有するコンテンツと見なされますので、 その使用に関するクレームへの対応はご遠慮させて頂きます。
Copyright © Yoko Akiyama & Cube New York Inc. 2024.