Shed Stigma of GLP-1 Weight Loss Drugs...
セリーナ・ウィリアムスが立証したGLP-1 ウェイトロス・ドラッグの
もう1つの副作用、社会的スティグマ

Published on 8/28/2025


テニスのUSオープンを間近に控えた8月21日に、グランドスラム・シングルス23勝を誇るセリーナ・ウィリアムズ(43歳)が、全米ネットのモーニング・ショー、「トゥデイ」に出演して 告白したのが今話題のGLP-1 ウェイトロス・ドラッグを使用して体重を31ポンド(約13.5kg)落としたこと。
GLP-1は血糖値と食欲を調節する天然ホルモンで、オゼンピック、ウィーゴビーが登場して以来、マウンジャロ、ゼプバウンドを始めとする後発でより効果が高いものが登場。 2026年からは 効果が若干落ちるものの、飲み薬のや、注射の頻度が月1回に落とせるタイプが登場することに鳴っているけれど、 セリーナが使用したのはゼプバウンドとのこと。
2022年の全米オープンを最後に引退したセリーナは、すっかりスリムなボディで番組に登場。 「特定の外見を維持しなければならないというプレッシャーを感じたことはありません。どんな体型でも自分は心地良かったんです」と言いながら、 「出産を機に増えた体重に身体が慣れていなかったため、関節を含む身体の様々な部位に痛みがありました」、 「私自身は増えた体重を受け入れても、身体は増えた体重を嫌っていたように思いました」 とウェイトを落とす必要性を明かしたのだった。



2度目の出産以降のジレンマ


セリーナにとって体重が悩みになり始めたのは、2017年に長女アレクシス・オリンピアを出産し、初めて母親になってからとのこと。 そして引退後の2023年8月に次女アディラ・リバーを出産した後は、体型と体調の変化に加えて産後ストレス障害が深刻になったという。
プロアスリートとして健康的な食生活と、通常の人よりも激しいエクササイズを習慣にしていた彼女とは言え、 減量には苦戦し、どんなに努力しても体重が落とせないフラストレーションがどんどん高まり、元プロアスリートとは言え、一般女性と同じジレンマを抱えた様子を番組で語っていたのだった。 
セリーナは「トゥデイ」出演の数週間前に、既に自らのSNSでスリムダウンしたボディを公開しており、 番組で告白する以前から、ファンの間で憶測を呼んでいたのが、オプラ・ウィンフリーやラッパーのリゾといった、ウェイトの問題を抱えるセレブリティ同様に オゼンピックを使用したのでは?との憶測。
多くのセレブリティがGLP-1 ドラッグを使用して痩せたかについて、否定も肯定もしない中、 「GLP-1 ウェイトロス・ドラッグを使用して痩せることに後ろめたさを感じる人々の罪悪感や、周囲から受ける偏見を払拭したい」と語り、 その使用を認めたセリーナについては、その正直さを評価する声が聞かれた一方で、大半がネガティブ・リアクションに終始していたのだった。



ファンの失望とバックラッシュ


その最大の理由は、セリーナがGLP-1系減量薬を処方する遠隔医療会社、Roとスポークスパーソンの契約を結んでおり、 彼女の夫で、SNS”レディット”の創設者、アレクシス・オハニアンがその取締役を務めていること。 すなわち、テニスのUSオープン直前という図ったようなタイミングで、セリーナがGLP-1ドラッグによる減量成功についてメディアで語るのは、 Roのパブリシティ獲得と宣伝を無料で行っていることになるため。
そもそもGLP-1ドラッグは、これまでセレブリティが広告出演や、スポークスパーソンを務めたことが無かった処方箋薬。 そのタブーを破ったのが、これまで自分に合ったボディ・イメージや、健康的なライフスタイルを熱心プロモートしてきた元プロ・アスリート、 それも319週間に渡って世界ランキング1位に君臨した、テニス界のGOAT(Greatest Of All Time)と言われるセリーナ・ウィリアムスであるのは テニス・ファン、スポーツ関係者、そしてGLP-1ドラッグの出現で経営難が続くエクササイズ業界にとってもショッキングかつ、反発を覚えざるを得ないもの。
しかもGLP-1ドラッグは、本来二型糖尿病治療薬、命を脅かすレベルの肥満の治療薬。これまで多くのセレブリティが GLP-1ドラッグの使用を認めなかった理由の1つが、「自分をスリムに見せたい」という美容目的のニーズが多過ぎて、 本当にGLP-1ドラッグによる減量が必要な人々に行き渡らない状況が続いてきたため。 Roのスポークス・パーソンになったセリーナは、ストレスやなかなか痩せないジレンマを告白しながらも、明らかに病気治療のためではなく、美容目的でのGLP-1ドラッグの使用。 そしてRoの広告でも、美容目的のGLP-1ドラッグをプロモートしており、その姿勢が「深刻な病状の人々を差し置いて、楽をして痩せようとする身勝手さ」と受け取られていたのだった。



身体的副作用と、社会的副作用


さらにセリーナ批判を浴びる要因は、GLP-1ドラッグの安全性。 GLP-1ドラッグは副作用として、筋肉が落ちる、吐き気、嘔吐、下痢、胃痛、便秘、胃のむかつき、胸やけ、げっぷ、ガス、膨満感、食欲不振、鼻水または喉の痛み、胃腸風邪の症状または頭痛、めまい、倦怠感、低血糖(2型糖尿病患者の場合)が報告され、外観的には脂肪が落ち過ぎて肌にハリが無くなる結果起こる”オゼンピック・フェイス”、”オゼンピック・レッグ”、”オゼンピック・ブレスト”等、 「スリムになったけれど、老けて見える」という プレマチュアー・エイジングが指摘される中、「食べることが楽しめなくなった」という精神面での潤い欠如も報告され、オーストラリアを含む諸外国では死亡例も出ている状況。 そのためインスタグラムだけで1820万人のフォロワーを持つセリーナが 「GLP1の安全性が立証されていないのに、知名度を利用して利益のために宣伝するのは間違っている」と批判する声も各方面から上がっているのだった。
その一方で、一時オゼンピックで大幅に減量したイーロン・マスクが、昨年の大統領選挙直前にトランプ氏の応援演説に登場し、再び肉がついた腹部を露呈していたことから、 「あのイーロン・マスクが、オゼンピックの使用を継続しなかったのだから、何等かのリスクがあるに違いない」と疑う声もあるけれど、 実際に多くの医学博士が「誰もオゼンピックを10年使用したことが無いのだから、長期的な副作用については何も保証出来ない」と語っており、 医学的にも、社会的にも正当性も認められていないのがGLP-1ドラッグ。 そのため美容目的の使用は、「努力せず、健康のリスクを冒してまで、楽をして痩せようとしている」というネガティブ・イメージが強く、 アメリカではGLP-1ドラッグが高額とあって「何でもお金で解決しようとしている」的に受け取られる傾向も顕著。
今ではそうした批判を浴びる精神的ストレスもGLP-1ドラッグの副作用と言われ、その批判は 「GLP-1ドラッグを使用している人と食事をしても楽しくない」、「GLP-1ドラッグを使用している人がグループ・ディナーに混ざると、 ”自分は殆ど食べていない”と言って会計の頭割りを嫌がるので面倒臭い」 といった社交面にも広がっているのだった。


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