Oct 12 〜 Oct 18 2020

”Things Selling Well in US Predict…"
選挙前に再び売れているものから予測する大統領選挙の行方!?


木曜に発表された新規失業保険申請件数が過去7週間で最多の89万8000件となり、コロナウィルスの感染者数と共に失業者数も 感染ピーク時に逆戻りの兆しを見せているのがアメリカ。
そのアメリカは9月の失業率が7.9%と発表されていたけれど、HBOの報道番組Axios/アクシオスが入手したデータによれば この数字には Uberのドライバーをするなど生活に十分な金額が稼げなくても僅かな労働をした人々が含まれておらず、 もし失業者を「生活に必要最低限の給与が得られるフルタイムの仕事を探している人」と定義づけた場合、 失業率はなんと26.1%。すなわちアメリカの成人の4人に1人以上の割合で失業している計算。
そのアメリカでは夏の時点で44%の人々が「食費が払えなくなるのを恐れている」とアンケート調査に回答し、全米各地のフードバンクに大行列が出来ていたのは周知の事実。 とは言ってもフード・チャリティの最大手の1つFeeding America/フィーディング・アメリカのデータによれば、 景気が良かったはずの2年前の段階で12%の世帯が食費の全額、もしくは一部を支払えなかったとのことで、 2019年の時点で食事をチャリティやフードスタンプに頼っていたアメリカ人は9人に1人。 フィーディング・アメリカではそれが今年中に6人に1人になると予測しているのだった。



The system punishes the poor and rewards the rich


そんなデータを突き付けられると「過去数年の空前の好景気は一体何だったのか?」と思う人々は少なくないけれど、 先週発表されたのがアメリカの最も裕福な50人の資産が、ボトム50%の1億6500万のアメリカ人の総資産とほぼ同じというフェデラル・リザーブ(FRB)のデータ。 更にショッキングなのはトップ1%の資産合計34.2兆ドルがボトム90%の資産総額とほぼ同じということで、 パンデミックに入ってその貧富の差は益々広がるばかり。 失業率同様、こうした弱者は景気を表すデータには全くカウントされていなかった様子を窺わせているのだった。
そうした貧困層ほど搾取の対象になるのは どの時代も同じで、昨年1年間のアメリカのトップ4銀行のオーバー・ドラフトフィー(残高不足のペナルティ)の合計は80億ドル。 また税金の支払い義務がないほど収入が少ない900万人は、IRS(国税局)がデータを持っていないため、 年収7万5000ドル以下の国民全員に支給されたコロナウィルス救援金も受け取れていないのが実情。
そんな中、アメリカのフード価格は昨年に比べて4.1%アップしており、「インフレーション=サイレント・タックス」と言われる通り、貧困層ほど徐々に、そして確実に 益々貧しい生活に追い込まれているのだった。



NYどころじゃないラスベガスの危機


トップ1%が投資で財産を大きく拡大する中、ボトム50%が頼るしかないのが仕事による労働収入。 しかしパンデミックのせいで映画館を含む劇場がクローズ、ホテルも閉鎖や休業。 レストランも多くが大苦戦しており、NYではレストランの90%が9月の家賃を全額支払っていない状況。 同様に大苦戦を強いられているジム業界は従業員の90%がレイオフされ、今年上半期だけで100億ドルの損失を計上。 逆にホーム・スピニング・マシンのぺルトンの売上が172%アップしており、パンデミックですっかりニューノーマルになってしまったのがホーム・エクササイズ。 そんな状況なので失業率はまだまだ改善の見込みが立たないのが現状。

感染第二波が始まったアメリカでは、第一波からのリカバリーをしていないサービス&ホスピタリティ業界から更なる倒産が出る見込みで、 メディアでは引き続きニューヨークを危機的状況と報道する傾向が強いけれど、NYは金融、ファッション、IT、広告&マーケティング、メディア等 様々な業界がひしめいている上に、 そもそも人口が過密状態だったので、たとえ多くの住民が州外に移住してもまだまだ人口密度が高い街。 現在ニューヨークより遥かに危機的な状況に陥っているのは、旅行者やギャンブラーを相手にしたサービス&ホスピタリティ・ビジネスで街全体が成り立っているラスヴェガス。
ホテルはガラガラで、一流どころでも宿泊費を100ドル前後に落としてオファーしなければならないのが現在。一部のホテルは宿泊費を50ドル程度まで下げているけれど、 その結果、生活力が無い人々が流れ込んで治安の悪化が報じられ、カジノには人との間に6フィートの距離を開けるよう呼びかけるサインが見られるものの、それが無意味に思えるほど人が居ない状況。 パンデミック前まで絶大な人気を誇ったウィン・リゾートのアンコールは採算が合わないことから営業を木曜午後2時から月曜正午まで、すなわち週末の旅行者のみを 受け付ける経営に切り替えることを今週発表。 それもそのはずで8月にヴェガスを訪れた旅行者数は僅か150万人。ホテルのオキュパンシー・レートは34%。 パンデミック以降はヴェガスの収入源であるコンヴェンションが一度も行われておらず、シアターもクローズ。ギャンブル収入も激減しており、 パンデミック中にジムがホーム・エクササイズに替わったように、ギャンブルも今やオンラインの時代でわざわざヴェガスまで足を運ぶ必要が無くなっているのだった。



選挙前のアメリカで人々が再び買い込む物とは?


選挙を11月3日に控えたアメリカでは既に2200万人が先行投票を済ませ、1908年以来最多の1億5000万人の投票が見込まれるほど 国民の誰もが深い関心を寄せているのが今回の選挙。 その選挙を控えた現在、再び人々が買い込みと備蓄を始めたのが食料品、常備薬、トイレット・ペーパー等の生活必需品と武器。 その理由はコロナウィルスの第二波のロックダウンに備えるよりも、選挙後に何等かの暴動、最悪の場合Civil War/内戦が起こることを危惧しているため。
銃メーカーの大手、スミス・ウェッソンの株価が今年2倍以上に跳ね上がったことに象徴される通り、 パンデミック以降大きく売り上げを伸ばしたのが銃。特に急増したのがファーストタイム・ガン・バイヤーでその数は500万人。 2020年の銃の売上の40%を担っているけれど、ここへ来て受講希望者がウェイティング・リストに名を連ねているのが射撃やコンバットのクラス。 すなわち銃を購入した人々が実践トレーニングに取り組み始めているのだった。

現在バイデン氏が世論調査でトランプ氏をリードしていることもあり、支持政党に関わらず 多くの国民が起こり得ると考えているのが トランプ氏の選挙敗北を受けて白人至上主義者やQアノン等、FBIがドメスティック・テロリストと見なすグループが暴動を起こすこと。 先週、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事誘拐を企てた反政府グループ、ミリシアが綿密な計画とトレーニングを行い、そのアジトを築いていたように これらのグループも既に周到な準備をしていると言われるのだった。
そんな中、今週にはNYポスト紙がジョー・バイデンの息子、ハンターのウクライナ、及び中国から多額のコンサルテーション・フィーの問題について大きく報じたけれど、 このネタとロシアがハッキングしたEメールでヒラリー・クリントン、ジョー・バイデン、オバマ元大統領を訴追するように司法省に圧力を掛け続けていたのがトランプ大統領。 しかし情報機関の高官4人がその出所の怪しさを指摘し、超トランプ派のビル・バー司法長官でさえ動かなかったことから、 トランプ支持メディアであるポスト紙の報道として騒ぎを大きくしたのが過去数日の状況。 その証拠と言われるEメールが入っていたハードドライブをトランプ氏の個人弁護士、ルディ・ジュリアーニに提供した人物は 既に証言を二転三転させており、この報道自体の疑惑説が聞かれる中、更に深まったのが既に分断したアメリカの感情的亀裂。
週末にはトランプ氏のコロナウィルス感染フェイク説まで飛び出す始末で、アメリカ国民は何を信じる信じない以前に 何が起こるか分からない状況に備えなければならないのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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