Jan. 16〜 Jan. 22 2023

4Workdays a Week, WEF Risk Report, Etc. "
遂に週休3日制!?、WEFの世界危機レポート、選挙逆恨み、Etc.


今週のアメリカではマイクロソフト社が過去8年間で最大規模となる1万人のレイオフを発表。これは全従業員の5%に当たる数字。 このレイオフは景気後退に伴う業績悪化を見込んだ人件費減らしが目的であるにも関わらず、レイオフ発表前日の火曜日に ワールド・エコノミック・フォーラムのためにスイスのダヴォスを訪れていたマイクロソフト・エグゼクティブ50人が楽しんでいたのが 同社主宰のスティングのプライベート・コンサート。スティングのようなアーティストに プライベート・パフォーマンスを依頼すれば そのギャラは軽く50万ドルで、エグゼクティブは会社の経費で豪遊しながら 社員を切り捨てる姿勢が 大顰蹙を買っていたのだった。
同じく金曜にはグーグルの親会社、アルファベットも全従業員の6%に当たる1万2000人のレイオフを発表。今週から実際の解雇がスタートしたアマゾンの1万8000人を 加えると、IT大手3社だけで今年に入ってから4万人がレイオフされた計算。 昨年12月の時点でアメリカの失業率は過去50年で最低レベルの3.5%であったけれど、これを連邦準備制度理事会がインフレ抑制のために掲げる目標値、4.6%にまで押し上げるには 更に180万人の失業者が出る必要があるのだった。
それとは別に金曜に報じられたのが過去25年に渡ってネットフリックスの経営権を握ってきたリード・ヘイスティングス(62歳)が現在の共同CEOのポジションから退くニュース。 ネットフリックスの共同設立者でもあるヘイスティングスは、アマゾンのジェフ・べゾス、マイクロソフトのビル・ゲイツ同様に、 今後は日常のオペレーションからは退きながらも、経営方針に最も大きな影響力を持つエグゼクティブ・チェアマンとして同社に君臨。 ディズニーでは、一度はエグゼクティブ・チェアマンに退いた長年のCEO ボブ・イーガー(71歳)が、 自分が選んだ後継者をクビにして2022年11月に再びCEOに返り咲いており、大企業ほど 決して退かないベービーブーマー世代の影響力とパワーが顕著と言えるのだった。



週休3日制がNew Normalになる!?


前述のように今週はスイスのダヴォスで ワールド・エコノミック・フォーラムが開催され、 例によって世界各国の上層部と言われる人々が プライベート・ジェットで乗り付けたことが顰蹙を買っていたけれど、そこでも聞かれたのが 世界的に自宅勤務が増えて 埋まらなくなったオフィス・ビルを 住宅にコンバートして、都市部のハウジング・クライシスに対応すべきという提言。
自宅勤務が増えたせいで 特に都市部で大打撃を受けているのが、それまでオフィス・ワーカーのブレックファスト、ランチ、コーヒーブレイク、アフター5ドリンクや 企業へのケータリング・ニーズで恩恵を受けて来た飲食店。加えてオフィス街ではドラッグ・ストアから靴磨きまでが 売上激減でダメージを受けているけれど、 それに拍車を掛けると見込まれるのが 2023年から週休3日制導入に踏み切る企業が増える傾向。
特にNYでは州政府、市政府の双方がプッシュしているのが週休3日制の導入で、 今週には4デイ・ウィーク・グローバルというノンプロフィット・オーガニゼーションの働き掛けで 6カ国の33企業が 2022年2月から6カ月間に渡って行った 週休3日制トライアルの結果レポートが発表されていたのだった。 このトライアルは 「週休3日で労働時間が40時間から32時間へ20%削減されても 給与は同額」という形で行われたけれど、 その結果は「No Downside」、すなわちメリットのみで、事前の予測をポジティブに裏切るもの。
企業側にとっては 生産性が全く下がらず、コミュニケーション・ミスも無く、週休3日制を掲げることで有能な人材を従来の給与レベルで雇えるのは大きなメリット。 従業員20人の スタートアップ企業では、トライアル期間中のプロダクティビティが2倍になるという目覚ましい効果を上げており、短くなった就業時間中に働く 意欲が向上。社内のムードも明るく、前向きになったことが報告されているのだった。 しかし通常と繁忙期の格差が大きいビジネスについては、繁忙期も週休3日にするのは不可能と判断されたとのこと。
従業員サイドでは、限られた時間に同じ仕事量をこなすために 1日の労働量とそれをこなすプレッシャーが増えたことが指摘されたものの、 子供や介護が必要な家族を抱える従業員、サイド・ビジネスや趣味に打ち込みたい従業員にとって週休3日制は大きなメリット。 「週休3日であれば、例え自宅勤務が許されなくても構わない」という声も多く、3日目の休日は金曜がメインストリームであるけれど、 月曜を休みにするケースも少なくないのだった。
2023年には世界の数百社が週休3日制を導入すると言われ、早く導入を実践した企業ほど そのメリットを掲げて 有能な人材の獲得が出来ると見込まれるのだった。



WEFが断言する”これから見込まれる世界の危機”


今週行われたワールド・エコノミック・フォーラム(以下WEF)では、16分野の経済専門家の分析、世界121カ国の1200社の企業リーダーを対象とした調査結果を纏めた WEFリスク・レポートが発表されたけれど、その中で1月27日のWHOの判断を待たずして 終焉宣言がされていたのがパンデミック。
それに代わるグローバル・リスクはウクライナ、ロシアに止まらず、他でも見込まれる戦争で、今後最も起こり得ると見られるのが中国による台湾への侵攻。 サプライチェーン問題の影響で 世界各国が半導体の国内生産に大きく動いたことから、半導体業界における台湾の重要性が薄れて来れば来るほど 侵攻後の諸外国からの反発が軽減されるとあって、 可能性が高まると言われるのが台湾への侵攻。しかしウクライナ侵攻後のロシアに対する西側諸国の足並みが揃った制裁措置が 「今後戦争を仕掛ける国に対する見せしめになったはず」というのもWEFの見解。
レポートでWEFが今後の世界規模の問題として掲げていたのは、各国政府が抱える多額の負債、経済低成長時代への突入、グローバル投資の激減とディグローバリゼーションに向かう風潮、 過去何十年にも渡って続いたヒューマン・デヴェロプメントの後退。 ちなみにヒューマン・デヴェロプメントは、平均寿命が延びるといった健康面での進化、教育機会均や進学率増加等を含む教育面の改善、生活レベルの向上などを 総合的に捉えた名称。
タイム・テーブルを向こう2年間に絞った場合の 世界のリスク トップ3は、生活費の上昇、自然災害、経済戦争。 レポートによれば 2023年にインフレ上昇率が ある程度 落ち着くのは先進国のみ。エネルギー価格の高騰、給与の上昇等で、 アメリカを含む先進国でインフレとそれを抑制するための高金利政策が継続することから、大打撃を受けるのが自国通貨が弱く、ドルで負債を抱える開発途上国。 WEFリスク・レポートでは破綻する国家が幾つも出ること、経済問題や食糧&エネルギー不足がトリガーになった大々的な反政府運動のリスクが 世界92カ国で見込まれると予測。その結果、豊かな国に大挙して難民が流入するマス・マイグレーションに更に拍車が掛かるとのこと。
加えて見込まれるのが電力、水道、農業、金融、交通機関、医療機関、宇宙&海底のコミュニケーション等、様々な分野のコンピューター・システムに対するサイバー・アタックの 増加とその規模の拡大。

しかしWEFが最も危惧しているのは、世界中の庶民が 政府やWEFのようなオーソリティ機関に対する信頼を失い、反発勢力が大きくなること。 その最大要因となる ソーシャル・メディアを通じたミスインフォメーション&ディスインフォメーションへの対策を促していたけれど、 実際にはWEF自体が 世界をコントロールするミスインフォメーション&ディスインフォメーションを発信しているのもまた事実。
さらに同レポートでは中国が一対一路経済圏政策で経済的弱者国家に貸し出した開発費回収が滞り、世界最大の負債国になるとも指摘されているけれど、 全体を通じてWEFが軽視していたのは 経済的弱者救済、デジタル社会における個人のプライバシー保護問題、そしてクリプトカレンシー、ブロックチェーンを含むディセントララリゼーション(分散化)。 そもそもWEFは政治、金融、メディア等の現行の中央集権システムのトップが集まる組織。 WEF開催目的も現行システムの維持と強化、引いては世界統一の中央集権制へ導くこと。 WEFに反発する有識者によれば、その目的達成に向けてWEFが ”パンデミック”、”戦争”の次に仕掛けて来るステップが ”経済崩壊”で、 確かにこのレポートでも 強調されていたのが そのシナリオ。 もはや世界は中間層が無くなり、メガリッチと貧困層しか存在しなくなることが謳われているのだった。



不正選挙を訴える共和党候補が殺人計画  


今週、ニューメキシコ州サンタフェの検事が発表したのが、2021年に現地で撮影されていた西部劇映画「Rust / ラスト」のリハーサル中に 俳優 アレック・ボールドウィンが実弾が入っているとは知らずに発砲してシネマトフラファーを射殺した事件で、ボールドウィンと武器管理の女性スタッフを 過失致死容疑で起訴する意向。
でも今週のニューメキシコ州でそれよりも遥かに大きな報道になっていたのが、11月の中間選挙で敗れた共和党下院議員候補、ソロモン・ペニャが 不正選挙を理由に 4人の狙撃犯を雇い、議員を含む民主党関係者4人の自宅に銃弾を撃ち込んだ事件の首謀者として逮捕されたニュース。 幸い銃撃事件でダメージを受けたのは家屋に止まっていたものの、ペニャは民主党関係者の殺害レベルの犯行を指示していたことが明らかになっているのだった。
ペニャは 2020年の大統領選挙結果の不正を訴えながら出馬した ”エレクション・ディナイア―”の1人で、 トランプ前大統領の全面的バックアップを受けたものの、民主党候補に74%対26%の大差を付けられて惨敗。 それもそのはずで、ソロモン・ペニャは2008年に凶悪窃盗で有罪となり、その後7年間 服役刑を受けていた身。 重犯罪の前科がありながらも出馬が可能になったのは、裁判所が何故か彼の立候補を認める判断を下したためで、ペニャは中間選挙で共和党が不振に終わった要因と言われる 「質の悪い候補者擁立」を絵に描いたような存在。
ペニャは選挙惨敗後も決して敗北を認めず、証拠の提示無しに不正選挙を訴え続けており、同様の証拠不在の不正選挙の訴えは アリゾナ州知事選でも トランプ氏がバックップした元TVパーソナリティ、キャリー・レイクが行っていたこと。 しかしそちらは接戦の末の敗北の負け惜しみ。50%以上票差が開いた惨敗でも選挙結果を認めず、逆恨みの末に殺害計画という常軌を逸した様子には 呆れる声が聞かれていた一方で、元凶悪犯罪者が元大統領の後押しで議員候補となり、政治献金を集めて、24%の票を得たことを恐れる声も聞かれていたのだった。
2020年大統領選挙以来、アメリカ国内で急増しているのがポリティカル・ヴァイオレンスであるけれど、 その発端を作ったトランプ氏は、2016年の大統領選挙で勝利したにも関わらず、ヒラリー・クリントン陣営に選挙不正があったと虚偽の訴えをしたことで、 今週100万ドルのペナルティの支払い命令を受けたばかり。トランプ氏は 昨年11月にアカウント永久閉鎖をイーロン・マスクに解除されても ツイッターには戻らず、以前ほど話題性が得られなくても メッセージ発信手段にしてきたのが 自ら立ち上げたソーシャル・メディア、”トゥルース・ソーシャル”。しかし2024年の大統領選挙キャンペーンを闘うには フェイスブック・アカウントが不可欠と判断したようで、今週には 親会社のメタに対して そのアカウント復活を正式に要請したことが報じられているのだった。  

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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