Taco-Themed Wedding Chapel! Taco Bell Cantina in Las Vegas
タコベルがウェディング・ベルになる カルト・ファンのための挙式場、
タコベル・カンティーナ in ラスヴェガス

Published on 4/28/2022


アメリカ人がカルト的にファスト・フードを好む様子は今に始まったことではありませんが、 昨今ではファスト・フードが肥満や心臓病の原因になるだけでなく、環境問題にも大きな悪影響をもたらすことが明らかになり、 「自分の健康のためだけでなく、地球のためにもファスト・フードを断つダイエットを!」と呼び掛けられていたのが今年のアース・デイ。
それでも その呼びかけは「せいぜい週に3回程度に抑えるべき」というもので、低所得者層が安価でイージーアクセスを理由に ファストフードを主食にする一方で、 どんなに裕福でグルメな人でも時々無償に食べたくなるのがファスト・フード特有のジャンクな味わい。
そのファスト・フード同様に、アメリカン・カルチャーの一部と言えるのがラスヴェガスでのショットガン・ウェディング。 アメリカでは、結婚の際に必要なのがウェディング・ライセンス、すなわち許可証。今では多くの州が結婚許可証の即日発行をするようになりましたが、 かつてはその日のうちに許可証が受け取れたのはラスヴェガスのあるネヴァダ州だけ。 そのためラスヴェガスはギャンブルのメッカであると同時に、思い付きや、酔っ払った勢いでカップルがゴールインするショットガン・ウェディングのメッカで、 何の準備も無しに訪れたカップルが簡単に結婚式が挙げられる施設やチャペルが多いことでも知られる街。 ヴェガスでは メディアを排除したスピード結婚や、お遊び的な挙式をセレブリティも多く、 古くはシンディ・クロフォードとリチャード・ギア、比較的最近ではジョー・ジョナス&ソフィー・ターナーらがラスヴェガスでウェディングを行っています。




ここに御紹介するのは ラスヴェガスのストリップにあるメキシカン・ファスト・フードのタコベルのフラッグシップ店舗であり、 店舗内にウェディング・チャペルを併設したタコ・ベル・カンティーナ。
この店舗がオープンしたのは2016年。ヴェガスという土地柄を反映して、リカー・ライセンスを所持する同店は、アルコール・ドリンクをサーヴィングしている数少ないタコベル店舗の1つ。 ダークなネオン照明の店内には ギフト・ショップが設けられ、タコベル・グッズも販売されており、通常のタコ・ベルとはかなり雰囲気が異なるお店。
ウェディング・チャペルはその2階フロアにあるアトラクション施設で、店内にチャペルを設置する きっかけになったのは、 タコベルが2017年に開催した #LoveandTacosContest / ラブ&タコベル・コンテストという広告キャンペーン。 これは応募カップルの中から勝者を1組選んで、タコベルがテーマのウェディング・セレモニーとパーティーをプレゼントするという企画。
そしてこのウェディングが大好評を博したことから、この企画でタコベルとタイアップしたブライダル業者が、コンパクトなブライダル・パッケージをクリエイトした結果、 タコベル・ファンの間で 知る人ぞ知るウェディング・スポットになっていったのがタコベル・カンティーナ。
ここで挙式をするカップルは1ヵ月平均30組で、既に1000組以上のカップルがここで式を挙げたことがレポートされているのだった。




タコベル・カンティーナのチャペルの収容ゲスト数は25人。 会場にはアメリカの結婚式に不可欠の ウェディング・プランナーが常駐しているので、カップルの希望に沿ったリクエストやアレンジメント、デコレーションも可能。 会場内には大型ビデオ・スクリーンがあるので、カップルの思い出のビデオ等を流すことも出来、 多くのヴェガスのチャペル同様、全てが合理的にオーガナイズされているのは 式を行うカップルにとって非常にありがたい部分。
しかもウェディング・パッケージのコストは、インフレの影響で以前の600ドルからアップしたとは言え、777ドルと激安。 この料金には 挙式を進行する介添え人、30分間の挙式+披露宴のためのチャペル使用料、タコス 12パック、シナボン・ディライト・ウェディング・ケーキ、 新婦のためのガーターやブーケ、新郎用の蝶タイ、Mr & Mrs ロゴが入ったTシャツが含まれているとのこと。 それ以外のフード、及びシャンパンを含むドリンクは別途のオーダー。 ドレッシング・ルームや ヘア&メークのための設備はないので、カップルは装いの準備を整えてからチャペル入りするのがルール。 加えてタコベル・カンティーナには結婚許可証を申請・受諾するサービスは無いので、予め自分で申請した許可証をチャペルに持参すること、 そして結婚の証人として立会人を1人連れて来るのが 合法的なセレモニーを行うための条件。
予約は挙式の4時間前までに済ませる必要があり、一度申し込んだら 一切の返金は受け付けないポリシーになっているのだった。




今年に入ってから タコベル・カンティーナでのウェディングは大ブレーク中で、その理由は 昨年11月にここでウェディングを行ったカップルが、 式の準備からセレモニーまでをドキュメンタリー形式でTikTokで公開し、あっという間に300万人のビューワーを獲得したため。
このカップルは当時600ドルだったパッケージに エクストラで1500ドルを支払って、2時間のウェディング・レセプションを行っており、 その料金の殆どは人数分のタコベル・フードとシャンパンやソーダ等のドリンク代。 2021年のアメリカの平均的なウェディング・コストが2万2500ドルであることを考えると、その10分の1で行えるのに加えて、 ゲストにとってはインパクトがあって、新郎新婦にとってはストレス・フリーで楽しめるウェディング。 ウェディングの前後にはラスヴェガスでの ギャンブルやエンターテイメントが楽しめるとあって、家族やゲストが週末の小旅行感覚で 参列できたことも大きなプラス。
そもそもゲスト達は 本音のレベルでは長時間の退屈なウェディングを嫌っているとあって、奇抜なアイデアの 短時間のウェディング、しかもフードはタコベル、ケーキはシナボンというカジュアルで満足感が得られるコンセプトは大好評。 TikTokのヴァイラル・ビデオの影響で、思い付きのカジュアル・ウェディングよりも、ウェディング・プランをしっかり立てて申し込むカップルが増えているとのこと。
同様のウェディング・パッケージは、デニーズや、クリスピー・クリーム、アメリカ最古のバーガー・チェーン、ホワイト・キャッスル等でも行われており、 景気の先行きが不安定なだけに、ファスト・フード&ファミリー・レストラン・チェーンでのバジェット・ウェディングは今後さらに増えそうな気配です。


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