Beyonce's "Cowboy Carter" Tour
Isn't Selling Out Because...

ビヨンセの”カウボーイ・カーター” ツアー
物議をのオープニングと、チケット売上に苦戦する理由

Published on 5/8/2025


アメリカで4月最終週からスタートしたのがビヨンセの「Cowboy Carter」ツアー。 同名のアルバムが今年のグラミー賞でアルバム・オブ・ジ・イヤーを受賞し、歌唱力、ダンスの実力からライブ・パフォーマンスに定評があるビヨンセだけに、 チケット売り出し直後は、大人気が伝えられていたのが彼女のツアー。 ところがツアー初日には、売れ残ったチケットが4000枚もあったことが伝えられ、 コンサートを訪れたファンがスタジアムの空席情報をTikTok等のSNSにポストしたことで、 様々なメディアが報じたのが「あのビヨンセもチケットが売れないご時世」というニュース。
しかし4~5万人入りのスタジアムで、4000枚のチケットしか残っていないというのは90%は席が埋まっているということ。 加えてビヨンセは、セットの影になってビヨンセの姿が全く拝めない座席も「リスニング・オンリー・シート」として比較的安価で売り出す 商魂の逞しさで知られるのだった。
一部ではビヨンセのチケットの売れ残りが大袈裟に取り沙汰されるのは、 「彼女が黒人、女性というダブル・マイノリティで、昨年の大統領選でも民主党を支持したことから、 保守派のアンチDIE(多様性、公平性、包括性)の攻撃対象になっているため」との声も聞かれる中、 音楽業界では昨年にはジェニファー・ロペス、今年初めにはジャスティン・ティンバーレイクがチケットが売れないことを理由にツアーをキャンセルし、 ケンドリック・ラマーもツアーチケット、夏に行われるミュージック・フェスティバルの数々も チケット売上が芳しくないなど、昨年からチケットが売れない状況が頻繁にレポートされているのだった。






ところでビヨンセのカウボーイ・カーター・ツアーが初日から物議を醸しており、その理由はオープニングでビヨンセがいきなりアメリカ国歌を斉唱したこと。
政府の移民政策や経済政策に国民が複雑な感情を持っている時に、愛国心を無理に煽る行為と批判する声もあれば、 1日中政治のニュースでウンザリしている人々がせめてコンサートを楽しもうという時に政治思想を持ち込むことを批判する声、 ビヨンセは沢山のヒット曲を持つのに、それを披露せずにアメリカ国歌を披露することに文句を言うファンも多く、一部に支持の声があったものの大半は否定的。
ビヨンセはアメリカ国歌で以前にも物議を醸したことがあり、それは2013年、オバマ大統領の二度目の就任式(写真上中央)で、 厳寒の屋外での歌唱であることから事前に録音した歌声に合わせた”リップ シンキング”、所謂口パクを行ったのが発覚した際。 その約2週間後にビヨンセはスーパーボウルのハーフタイム ショーを担当したけれど、 ビヨンセはその口パク批判がよほど悔しかったようで、スーパーボウル記者会見の席で、アカペラでアメリカ国歌を斉唱(写真上右)。 リベンジ・パフォーマンスを見せて話題を集めたのだった。




ビヨンセを含む多くのアーティスト、ミュージック・フェスティバルのチケットが売れなくなってきた最大の理由は、 まずチケットが高くなり過ぎていること。 特にアメリカの場合、コンサート・チケットをほぼ独占で販売するチケット・マスターが、 ニーズがあればあるほど、その価格が跳ね上がって行く「ダイナミックプ・ライシング」というシステムを用いられており、 今回のビヨンセのツアーのように、売り出し直後の人気で一度価格が跳ね上がってしまうと、その値段では買えないファンが購入を控える結果、 チケットが売れ残るケースが出てしまうのだった。しかし売れないまま、コンサート日程が近付くと、今度は値段が下がり続けることから、 運が良く値崩れしたチケットを入手した人々が出るのは、発売直後に必死の思いで高額チケットを入手した熱心なファンの不平、不満の原因になっていることは以前から指摘されてきたこと。 更に昨今の全米ツアーは、日程数はそのままに開催地を減らして、移動費を含む様々なコスト削減を行っており、これはアメリカの国土が日本の20倍であることを考えれば致し方ないこと。 その分、多くのファンにとってコンサートに出掛けるということは、交通費やホテル代といった旅行費用が掛かるということ。
パンデミックが完全に明けた2023年から2024年まで行われたテイラー・スウィフトのエラス・ツアーは、 ファンが久々の旅行、コンサート、ショッピングを楽しんだ結果、オリンピック誘致を超える経済効果を生み出したけれど、 そのテイラーでさえ「リセッションを控えた経済不安の2025年にツアーに出ていたらそうは行かなかっただろう」とも言われるのだった。






今では、コンサートやミュージック・フェスティバルに限らず、プロ・スポーツからアマチュア・スポーツまで、 ライブイベントがそこら中に溢れているのも、コンサート・チケットが売れなくなった理由の1つ。 更には、物価高や政情不安等で、人々がお金が掛かるコンサートよりも 抗議活動や政治集会に参加する傾向も高まっているのだった。 特に民主党を離れインディペンデント議員になったバーニー・サンダースと、民主党若手ホープ、NY選出の下院議員、 AOCことアレクザンドリア・オカジオ・コルテスの Fighting Oligarchy Tour/ファイティング・オリガルキー・ツアーは 全米各地、レッド・ステーツでさえ毎回2~3万人を集める大イベント。アメリカでは政治イベントにミュージック・パフォーマンスが含まれていたり、 セレブが応援演説にやって来る等のエンターテイメント性が盛り込まれることもしばしば。 さらにテスラ店舗の前で毎週末行われる Tesla Takedown/テスラ・テイクダウン のデモも毎週のように参加者を増やしており、 そうした活動が同じ政治思想を持つ者同士の出会いの場になってことも聞かれるのが昨今。
いずれにしてもビヨンセでさえチケットを売るのに苦戦するご時世なので、インディーズ・ロックバンドなどは更に苦しいようで、 パンデミック明けのように、ライブ・エンターテイメントに人々が飢えていて、「何かイベントをすれば、人が集まる」という時代ではなくなっているのだった。


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