COVID-19による休業のダメージで永久的閉店に追い込まれた
ニューヨークのレストラン、その意外なラインナップ
Published on 6/5/2020

3月16日からCOVID-19の影響でレストランがテイクアウトとデリバリーのみの営業となりましたが、
多くのレストランは採算が取れないテイクアウトとデリバリーで営業を続けるよりも従業員を解雇して休業の道を選んでいたニューヨーク。
その状態から2ヵ月以上が経過しましたが、レントが高額なニューヨークとあって、
その間に休業から永久的な閉店に追い込まれるレストランが何軒も出ており、
ニューヨーカー を驚かせたのは そのラインナップが必ずしも小規模なレストランばかりではないこと。
2020年に入ってからは コロナウィルス感染が広まる前から閉店するレストランが相次ぎ、
比較的知られているところだけでも日本食のテーマ・レストラン ”ニンジャ”、ロティサリー・ジョルジェット、ガブリエル・クルーサー・ショコラティエ&カフェ、モリモト、
北京ダックのアップスケール・レストラン ”ダ・ドン”、ミシュラン・スター・レストラン ”’アルデア”など、数えきれないほど。
そんなただでさえ苦戦を強いられていたレストラン業界は
COVID-19の影響で 3分の2が閉店に追い込まれると経済専門家が予測するほど。
以下の閉店したニューヨークのレストラン・リストは、それが現実になっても不思議ではないラインナップになっています。

写真上左はウェスト・ヴィレッジで20年以上ビジネスを続けた
Daddy-O / ダディオ。ハッシュブランを使ったナッチョス等、他には無いカジュアルな料理をサーヴィングするバーは、
ウェストビレッジやソーホーのレストランのスタッフやシェフが仕事の後に立ち寄ることでも知られた、
料理が美味しいバーと知られたスポット。
写真上中央は4月半ばに閉店を発表したPeg Club / ペグ・クラブ。
ソーホーのウエスト・ハウストン・ストリートで約15年ビジネスを続けたペグ・クラブはオープン当初はセレブも訪れるホットスポットで、その後もずっとトレンディングであり続けたラウンジ。
横に細長い作りのインテリアで、ニューヨークのラウンジ・ブームの火付け役になった存在。
4月15日にショッキングに伝えられたのはバルタザール、パスティス、ミネッタ・タヴァーンといったNYの長寿人気レストランを手掛ける
レストランター、キース・マクナリーが1990年代にオープンしたソーホーのLucky Strike / ラッキー・ストライク (写真上右) 閉店のニュース。
サイズは小さいものの、昔ながらのダウンタウン・バイブを感じさせるカジュアル・レストランで、
メニューはフレンチ・アメリカン。オニオン・グラタン・スープ、ステーキ・フリートいったビストロ・フードが独特の雰囲気とソーホー・クラウドの中で味わえた
レストランでした。

写真上左は、ローワー・イーストサイドのバーベキュー・ジョイント、Randall's / ランダールズ。
オープンしたのは2018年8月で比較的新しいレストランでしたが、フードクティックの間でもそのパストラミやブリスケットの味は高く評価され、
ローカルに人気のスポットでした。
写真上中央はマンハッタンのグリニッジ・ヴィレッジで過去36年間に渡って営業を続けたGotham Bar & Grill / ゴサム・バー&グリル。
元ジュエリー・デザイナーのオーナー・シェフ、アルフレッド・ポタールがクリエイトする未目麗しいアメリカン・キュジーヌで大人気を博し
ミシュラン・スターを獲得し続けた同店は、2年前から女性シェフに替わり、料理のスタイルがカジュアルに変化して間もない閉店。
長くニューヨーカーに愛されたレストランを惜しむ声と、ただでさえ少ない女性ミシュランスター・シェフが減ってしまったことを嘆く声が同時に聞かれています。
写真上右は FiDiこと ファイナンシャル・ディストリクトで147年の歴史を持つマンハッタン最古のバーの1軒、The Paris Cafe / パリス・カフェ。
ハリケーン・サンディで店舗がダメージを受けた時には何とか立ち直った同店ですが、
コロナウィルスの問題を受けて、フェイスブック・ページでオーナーがその閉店を常連客にアナウンスしています。
写真上左は、イースト・ヴィレッジで約100年の歴史を持つGem Spa / ジェム・スパ。スパとは言っても
フードや雑貨等を販売する歴史ある売店。同店は
シロップとミルク、ソーダで作る”エッグ・クリーム”発祥の地と言わる名物スポット。
近隣の人々が存続のために尽力したものの閉店が決まっています。
写真右側はコロンバス・サークル前のタイム・ワーナーセンター内にあるマンダリン・オリエンタル・ホテルの中の
アップスケール・カクテル・ラウンジ The Aviary / ジ・アヴィアリー と The Office / ジ・オフィス。
どちらもシカゴのミシュラン・スター・レストラン、Alinea / アリネアのNY進出プロジェクトとしてオープン。
ジ・アヴィアリーは予約が取れないことで知られたスポットで、食事をすれば1人最低150ドル。
双方のスポットでサーヴィングされるクリエイティブなカクテルは25ドル以上という高額ぶりでした。

写真上左はパーク・スロープのBlue Ribbon Fried Chicken / ブルーリボン・フライドチキン。
ブルーリボン系列の人気チェーンで、チキンサンドウィッチ・ブームが続いていただけにサプライズの閉店。
写真右はアッパー・イーストサイドの住人に20年以上に渡って愛された地中海料理店、
Beyoglu / ビヨグル。毎日大混雑だった同店の閉店はアッパー・イーストサイダーの間では極めてショッキングなニュース。
ネイバーフッド・レストランにしてニューヨーク・タイムズで3つ星を獲得した同店は絶品のフラット・ブレットとハマスで知られたスポット。
「ビヨグルのハマスを味わうと他のハマスが不味くて食べられない」と言われたほどでした。

写真上左はハドソン・スクエアのジャック・トレス。セレブ・ショコラティエ、ジャック・トレスのサクセスを象徴するストアとしてオープンした同店ですが、
リースの延長を断念して閉店に踏み切っています。
中央はミシュラン・スター・レストランで、ニューヨークのアップスケール・スシ店ブームの先駆者となったジュエル・バコ。
2001年にオープン以来、セレブも数多く訪れたスポットですが、近隣の同じ経営者のレストランUkiyo / ウキヨ と共に閉店が決まっています。
写真上右はチェルシーの外れの11番街の15丁目と16丁目の間に2013年にオープンしたタパス・レストランToro / トロ。
ボストンのJKフード・グループのニューヨーク進出店で、2017年にはドバイにも進出していましたが、3月半ばからの休業と同時に閉店を決定しています。

写真上左はウエスト・ヴィレッジでアップスケールな ファーム・トゥ・テーブルのビジネスを展開していた Blenheim / ブレンヘイム。
オーナーはアップステートで農園を経営し、その野菜を使った料理で知られていました。特にアナウンス無しに閉店を決定して
スタッフをも驚かせています。
写真上中央は2016年に誕生したマンハッタンの小規模ファストフード・チェーン、Schnippers / シュニッパーズのトライベッカ店。
ここでランチを食べると1日のカロリー全てを摂取すると言われる高脂肪、高カロリーのメニュー。
他のブランチ3軒は未だ営業を続ける見込みです。
写真上右はウエスト・ヴィレッジの焼肉レストラン、Takashi / タカシ。2010年にジャパニーズ・コリアン・レストランとしてオープンし、
シェフ、タカシ・イノウエの”ニク・ウニ”等のシグニチャー・ディッシュで知られましたが、シェフが2017年10月に死去。
その後も営業を続けたものの、COVID-19による休業が2ヵ月以上続いた5月22日にオーナーが
ビジネスを再開するには規模が小さ過ぎるとして閉店をアナウンスしています。

写真上左上はコパカバーナ。ニューヨークのナイトシーンで最もアイコニックなクラブとして知られたコパカバーナですが、
それは現在のタイムズスクエアにほど近い場所に移動する前、アッパー・イーストサイドの60丁目にクラブがあった時代。
この時代のコパナイトは、セレブリティやスポーツ選手がドラッグ・クイーンやモデル、デザイナーと
華やかでクレージーなダンスパーティーを繰り広げていましたが、場所が移ってからは大衆クラブになってしまい、
5月末に閉店を発表しています。
その下の写真はウエスト・ヴィレッジのスコティッシュ・ガストロ・パブ Highlands / ハイランズ。
シングルモルトのスコッチや、スコティッシュ・カクテルを揃えたユニークなスポットなだけに
ダイニング・ルームよりもバーエリアが常に混み合っていたスポットでした。
写真上右側はCOVID-19の影響で一時休業中だったタイムズ・スクエア・エディソンホテル内のグルメ・レストラン
701 West / 701ウエストと その名の通りテラスに位置するTerrace Restaurant / テラス・レストラン。
どちらもイアン・シュレーガーが手掛けたアップスケールなインテリアと セレブ・シェフ、ジョン・フレイザーが手掛けるグルメ・フードで知られたスポットですが、
5月末にホテル閉鎖が決定したことから閉店に追い込まれるという残念な最後を迎えています。


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